■草原_お助けサービス/11/12/13:12
『Pyurororo!!』
酷く間抜けな音が響く。
お菓子のラムネ笛みたいな安い音色だが、何故か敵の『魔法使い』と『ヤタ』の魔法から生じた『火災旋風』による轟音に掻き消されずに響いている。
「あっ!悪魔の笛やん!!」
ゴンさんが叫ぶのもよく分かる。
ゲームだとしても効果がわからないアイテムを死ぬかも知れない場面で使用するのは愚かでしかないが、アイテムの特性からヤタはこのタイミングで使う事が大丈夫と判断したらしい。
「…ぁっぃ」
ヤタの口から弱音が漏れた。
ビニール傘の持ち手は既に溶け落ち、ヤタが持つ傘の先へと火の手が近付いていた。
はやく、早く来いッ!!
『お助けサービス』があるなら早く来いッ!!
時間にしてはまだ5秒も経っていないが、人生で1番長く感じる程だ。
周囲が赤く赤く染まっていく。
まるで『赤い3倍』を最初に飲んだ時のように視界が全て赤い。
火に囲まれて動けない!?
ヤタが限界をむかえた傘を投げ捨てるのが見えた。
これはもう打つ手が無いのかと諦めかけたその時、地面が激しく揺れ始めた。
『DOGAGAGAGGGGG!!!!!!!!!』
ヤタがバランスを取るためか俺の両目を隠すようににしがみついてきた。
そんな事を気にしている時では無いと分かっているが、ヤタの性別が気になる…。
目隠し状態のため危うくバランスを崩しかけたがゴンさんが足を押さえてくれているおかげもありこけずに済んだ。
「ま、まじか、ありえんやろ」
「…これは予想できなかった」
温度が下がってきて風が吹いているのを感じる。
ヤタの魔法?いや『お助けサービス』が?
「ヤ、ヤタ、見えない」
「ごめん」
しがみつかれていたというのにその感覚も良く分からないまま、俺は視界を得るためにヤタに注意する。
もはや色んな感覚がおかしくなっているなか、視界にソレは現れた。
「ちょっとアンタら、呼ぶ場所おかしいよ?」
「す、すみません」
宙に浮いている女が現れた。
ホウキに跨っている女は赤の衣装に身を包んでいるが、なんだろう、ギャルっぽいような衣装だが、それよりも女が浮いていた場所に視線がくぎ付けになる。
大地に大穴が空いているぞ…。
「私じゃないと来れない場所とか…超面白いよ?」
女はニタニタとまるで三日月のような口で笑っている。
「アナタ、もしかして『パリカー』かな?」
「お!当たり!!悪魔でも『お助けサービス』流星乗りのパリカー、参上!!ってね」
「ええやんええやん!めっちゃええやん!」
「ゴン…堕天…」
「ヒッ!?」
よ、良くわからないし不安は残るが、とりあえずは助かった!




