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雨森弥太郎は騒がない〜真夜中に拾った少女〜  作者: 猫背族の黑
第四章『旅立ち』
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■草原_ランチ/11/12/12:20■

 俺は痛む頬をそのままに草原の中でランチの用意を始める。


 リュックの中にある『無名良品』のピクニックシートを広げ、飲料とサンドイッチを取り出すだけなのであっという間に終わった。


 ちなみにまだ俺の身体は赤いままだが特に問題なさそうなので後回しにしておくことにした。


「ナイナイの『梱包』は形状を無視して小さくできる優れものだけど、温度は保てないよね?」

「さすがに温度は無理ですよ、物が腐りにくい季節で良かったです。ところで食べながら話す話しじゃ無いとは思うんですけど、さっきの話の続きをしたいんですが」

「何かな?」

「とりあえず『ラッパ吹き』について教えてもらえますか?」


 ヤタは食べかけのサンドイッチを口の中に放り込み『精霊水』で流し込んだ。ゆっくり食べさせてあげる事もできない現状がなんとも歯がゆい。


 ただのピクニックであればどれほど良かったか。


「『ラッパ吹き』は7人いる、主神よりそれぞれ効果が違うラッパを預けられている者達の事」

「効果って何です?」

「地上に災害をもたらす効果」

「そ、そんなラッパいらなくないですか?!」

「地上の者が悪さをした時に天罰として使用されるから。ここ数百年は使われていないし」

「天罰ですか…」


 神ならそういうシステムを作っても仕方がないのかもしれないけど、災害を起こして戒めるのはちょっと野蛮なのではとも思ってしまう。


「そのラッパってどんな効果があるんですか?」

「一度に覚えられないと思うけど名前と一緒に教えるね、あと長くなるからポイントを絞っておしえるから、気になったら質問して」

「あ、それならノートに書きながらでいいですか?」

「ナイナイ、えらい」

「いやぁ、職業病ですよ」


 俺は照れ隠しを言いながらリュックから紙とノートを取り出してヤタの話を書き込む。


△▼△


『ラッパ吹き』


□第1のラッパ吹き『アレフ』


 地上の三分の一に血の混じった雹と火が降り注ぎ、すべての青草が焼けてしまう。


□第2のラッパ吹き『ベート』


 山のような火の固まりが海に落ち、海の三分の一が血に変わり、海の生き物の三分の一が死ぬ。


□第3のラッパ吹き『ギメル』


 ”苦よもぎ”という名の巨大な星が水源の上に落ち、水の三分の一が苦くなって多くの人が死ぬ。


□第4のラッパ吹き『ダレット』


 太陽の三分の一、月の三分の一、星の三分の一が破壊され、昼も夜も暗くなってしまう。


□第5のラッパ吹き『へー』


 星が地に落ち底知れぬ所まで通じる穴を開け、『アバドン』を王としているイナゴ達も飛び出し人を襲う。


□第6のラッパ吹き『ヴァヴ』


 人間の三分の一を殺すため二億人の騎兵隊が出陣し解き放たれる。


□第7のラッパ吹き『ザイン』


 天の神を選ばなかったすべての人々は死ぬ。


△▼△


「ちょっ!?

 これって災害レベルの話じゃないですよ!?」


 ヤタの話につい割って入ってしまった。


「そうだよ、だから余程じゃないと使われない」

「こんな危ないラッパを管理している方達が『ホールズ』からの侵略に関係してるんですか?」

「少なくとも何人かは関与してるのを確認してる」

「そんな…なんで…」

「暇だったから…らしいよ…」

「え…」

「出番がずっとないラッパに意味を持たせるって『ヴァヴ』が言ってた」

「そんな…」


 そんな事が許させて良いのか?


 どう考えても良くないだろ?


 俺は胸の奥がふつふつと熱くなるのを感じていた。

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