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雨森弥太郎は騒がない〜真夜中に拾った少女〜  作者: 猫背族の黑
第四章『旅立ち』
55/100

■草原_駆け足/11/12/11:55■

 ヤタの魔力で変質した『赤い3倍』を飲んだ俺は湧き上がる力を制御できず、人として取り返しのつかない事を起こしかけた。


 結果的にはヤタの強さがそれを許さなかったが、

俺は反省の意味も込めてあれから肩車状態であてもなく走り続けている。ちなみに今も身体中は赤いままだ。


 ヤタはヤタであんな事があったにも関わらずこのトラブルを丁度良いと解釈したらしく、俺にハッキリとした力の差を教えるべくレベルなどステータスについて説明をしてくれていた。

 

「筋力と敏捷のステータスはナイナイの方が私より少し上だけど、私は『レベル75』でナイナイは『レベル1』だよね。相当な場数を踏んでるからあのくらいの突進は余裕だよ。私の方が器用だし」


 表情は見えないが俺の事を特に怖がるでもなく、以前と何ら変わらない対応をしてくれるヤタ。


「ええと、でもそれはもし捕まっていたら危なかったって事だよね?」

「その時は杖が無くても魔法を使うかな。杖が無いと殺傷力が落ちるのと出力の仕方で火傷するくらいで済むし」

「なるほど…」


 余裕な態度なのは大きな実力差が関係しているからだろう。しかしそれはヤタにとって良いことなのだろうか?


 コンビニで襲ってきた奴は明らかに強そうだった。ゴンさんもトクさんもいない今、ヤタを守れる手段が俺にも必要なのではないだろうか。


 あれ?そもそも何故襲われたんだ?

 『ホールズ』に来てすぐに『ズー』に襲われたせいで肝心な現状把握ができていなかった。


「ヤタ、そう言えばコンビニで襲ってきた奴の事は知ってるの?ヤタを探してそうだったけど…」

「あいつは『ラッパ吹き』の1人で名前は『ヴァヴ』、私を殺そうとしてると思う」

「殺す!?」

「『ホールズ』の調査をしていた私が奴らの計画の邪魔なんじゃないかな」

「そ、そんな他人事みたいな言い方…」


 弱い俺が感じているのは間違いかもしれないけど、ヤタはどこか抜けていて危機感が無い気がする。ここは俺がなんとかして守るしかないのではないか?


 でも、どうやって?


「ヤタ、俺はどうすればヤタの力になれる?」


 今は格好が悪くても仕方ない。

 分からないなら、分かる人に聞くんだ。

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