■草原_容量用法/11/12/11:35■
ヤタにおいしくなる魔法をかけてもらった『赤い3倍』を飲んだ俺は全身が真っ赤に染まっていた。
「な、な、な」
体温の上昇も感じないが肌が赤いのは確かだった。
それもまるで熟れたトマトのように真っ赤なのだ。
「あ、あ、あ」
体の奥から湧き出て来る力がじっとしている事を許さないかのように、動きたいという衝動に駆り立てる。
俺はヤタの方に視線をやると狙いを定める。
いけない事だと分かっていてもそれは止める事ができなかった。
「ナイナイ…」
「や、や、やた、に、に、に、げ」
酔っぱらうと記憶を失う人もいるというが、どうやら俺は駆り立てる衝動を抑えられないという事も記憶に残り、これから起こる事も記憶に残りそうだった。
ヤタは丸腰で杖の代用になりそうなものを持ち合わせていなかった。
俺がおかしくなっている事を察して、ヤタは俺を背にして走る。
大きなリュックを背負っている俺の方が遅いという可能性は十分にあったのだが…
「や、や、や」
俺はまるで赤い布に引き付けられる闘牛のようにヤタに目掛けて突進し、頭からヤタの背に向けて突き進む。
ヤタはチラリと俺を見るとタイミングを見計らい…
飛んだ。
俺は勢いそのままに突っ切ると俺の首あたりにヤタが俺に跨る重みを感じた。
ゴツンと一発殴られたのか、頭部に痛みを感じて我に返る。
「っは!? す、すみません、体が制御できなくて」
「私を甘くみないように」
俺の首を股で挟み、リュックの上に座るようにして俺はヤタを肩車していた。
「少しでも変な動きを見せたら絞めて落とすから」
「す、す、すみません!気をつけます!」
「それにしてもまだ赤いままだね、力が余ってるならこのまま真っすぐ走ろうか」
「ど、どこまで?」
「街が見えるあたりまでかな?」
「わ、わかりました」
俺は今日、ヤタ専用の移動手段のひとつとなった。




