■草原_鳥/11/12/11:07■
身体がよろめく程の突風は、ヤタが言った『ズー』という鳥の羽ばたきだった。
「嘘だろ、こんなにデカイのか…」
ズーは俺達の頭上にまるで『ホバリング』をする『ヘリコプター』の様に居座っているため、絶え間ない突風が左右から襲ってくる。
ヤタと共に身を屈め、突風による小石などの飛来物に耐えながらヤタに問いかけた。
「ヤ、ヤタ!ズーって肉食?今からでも逃げれる!?」
これだけ大きな鳥だ。どう考えても肉食だろうが聞かずにはいられない。
「肉食、逃げるのはもう無理かな、戦うしか」
「ど、どうする?俺の銃で倒せる!?」
俺はポケットから手に収まるサイズの拳銃『ベレッタM1919』を取り出して見せる。
「…………ッププ」
急に堪えられなくなったように口元に手を当てて目を逸らすヤタ。
え?な、何故?
「…ごめん。想像したらあまりに可愛くて」
「か、かわいい?」
「ナイナイの豆鉄砲じゃ、傷ひとつつけられないから」
鉄砲が無意味な鳥がいる世界、スタートして即死とか笑えないぞ!?
転移するなら俺にもチート能力を授けてくれよ神様!
「それより何か杖になりそうな物、無いかな」
そ、そうか!ヤタはバッタを魔法で倒していた!!
『GYAAAAASSS‼』
バサバサという羽ばたきに加え、高音のズーの鳴き声が響き渡り恐怖のあまり視線をズーに移してしまう。 牛でも軽く持ち去ってしまいそうなズーの足はゴツゴツしていて爪も鋭く尖っていて簡単に死が想像できた。
「ナイナイ、早く杖になりそうな物」
「わ、わかった」
ヤタの声で我に返り、リュックから『ボトル』を取り出す。
『GYAAAAAAAAAAASSS‼』
ズーの声が迫る。いよいよ狙われている!?
「早く」
「こ、これで!」
ボトルから『ひゅるん』と、とっさに杖になりそうな物を取り出して渡す。
「杖の質で魔法の威力が変わるんだけど…」
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAASSS‼』
強くなる突風、まるで空気に押されるようなズーの鋭く巨大な足のプレッシャーで体が強張る。
「仕方ない」
ヤタは『串付きジャンボフランク』をズーに目掛けて振りおろし叫んだ。
「急ぎ応えよ、慈しみを以て刹那に穿て彼の心、雷針」
瞬時にフランクフルトの先端から閃光が放たれた途端、ズーの声も羽ばたきも聞こえなくなった。
やったのか?しかし俺達を狙って降下していたぞ!?仮に倒せていてもここに落下してくるんじゃ…。
俺は大急ぎでヤタをお姫様抱っこの要領で抱えてその場を離れる。
「ナイナイ、あげる」
「な、なひほ」
俺はこんがり焼けた『串付きジャンボフランク』を口に入れながら後ろを確認せずに走り出した。




