■コンビニ _交渉11/12/10:40■
パンパンに詰め込んだ『無名良品』の黒リュックを背負って表に出ると、何者かと対峙していたゴンさんに向かってかまわず叫んだ。
「ゴ、ゴンさん!なな、何の音ですか!」
「ば、ばか!まだ入ってろ!」
ゴンさんの前には映画やアニメのいかにもといった騎士達がいる。さっきの音の正体は彼らだろうか?見た目からすると天使のお仲間か?
まるで道を覆うゾンビ映画のような圧倒的な大群。これならイナゴなどたやすいのではないだろうか。
「そこに居たか、ヤタガラス」
ゴンさんの前にいるスラリとした高身長の多分女性(鎧に胸の膨らみ確認…ヤタにもこういうハッキリとした性を示す何かがあれば俺だって…いやいや!そんな事を考えている時ではない。ここまで脳内で0.001秒、ええい仕切り直しだ!)
高身長の女性はその長い足ほどある長さのサーベルを振りかぶると、見る者を不安にさせるような笑みで告げた。
「そこに『ヤタガラス』がいるということは、プリンシパリティ、ヴァーチュース、『私の敵』という事でいいんだな?」
今更ながら咄嗟に俺の後ろにヤタを隠す。
「ははは!『私の』だと?
ヴァヴ!そういうお前は『神』の敵に墜ちたようだな!!」
トクさんが相手に叫んで返事をした。良く分からないけど名前を知ってる知り合いだけど、敵味方に別れた?
という事は、ヤバくない?
「うるさいッ!」
ヴァヴと呼ばれた女性が剣を振るった。
ビュンッ!
風切り音が凄く剣を目で追えない。
ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!
何度も何度も剣を振り空間を裂いていく。
ふと風を感じ、首を触る。
なんの変化もない、良かった。
剣圧が飛んでくる様なファンタジーでは無いようだ。
「ちょ!ちょ!ちょいまち!
ヴァヴ!ここは俺の勝ちって事で一度手を引いて仕切り直そう」
と、安心した次の瞬間にゴンさんが慌てだした。
「何を馬鹿な、愚かさを思い知れ」
ヴァヴと呼ばれた女性は喋りながら絶えず空間を裂いている。
ビュンッ!ビュンッ!
ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!
「わ、分かった!引き分け、引き分けにしよう!」
ビュンッ!ビュンッ!
ビュンッ!!ビュンッ!!ビュンッ!!
ビュンッ!!!ビュンッ!!!ビュンッ!!!
徐々に高速になる動き。
「ヨシタカ!しゃあない!交渉決裂や!
早う、射てまえ!!」
「はいよッ!」
―【Zu!!!!rarararararrararararara‼‼!!!!】―!!
俺は一連の流れがさっぱりわからず、ただ頭上から鳴り響く轟音と真っ赤に飛び散る火花に圧倒され後ろにいるヤタの手を無我夢中で掴んだ。
「落ち着いて、良く見て」
全ての音が轟音で掻き消される中、耳元でヤタの声と呼吸を感じこそばゆさで我にかえる。
「気を強く持って、これから全てが変わ―――」
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次回、第四章「旅立ち」




