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雨森弥太郎は騒がない〜真夜中に拾った少女〜  作者: 猫背族の黑
第二章『加速する違和感』
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■路上_朝日11/12/06:10■

「そこを右に曲がって」

「りょ」


 俺はタクシーの運転手のような気分になりながらヤタの誘導に従い走っていた。火事場の馬鹿力みたいなもので無意識に走れていたが、俺はそもそも筋肉系のオタクではないので持久力もまったく無い。


 最初は了解と返事していたのに何度目かの返事から了解と言えなくなっている。


 ここまで走れたのは緊急事態で逃げるためというのはもちろんあるが、ヤタが思ったより軽かった事とカッコつけたいとう見栄っ張りな下心があったためだ。


「追われている気配も無いし、ちょっと歩こう」

「は、はひぃ」


 限界ギリギリ、なんとな情けない姿を見せずに済んだかもしれない。


「あ、あの、ヤタちゃ…くん」

「ヤタで良い」

「う、分かった」


 異性と話すのは抵抗がある。

 コンビニという接客業のおかげでいくらか慣れてはいるが、年齢層が高い人と話す方が緊張しなくて良い。


 特別に意識しているつもりでは無いが、特に年下だとかカワイイ人と話すとなると緊張から耳が赤くなったりどもりがちだった。


 ちゃん付け、くん付けはそれを若干でもおさえる効果が俺にはあるのだけど、本人から禁止されている以上仕方が無い。


「ヤタ、これはその、現実で、バッタに殺されるという事ももちろんある、わけですよね?」

「そうだよ、ほら」

「いてててててッ!?

 ちょ、痛い!何するんですか!」


 ヤタが俺の耳を…ん…噛んだのか!?

 両手は俺の両肩から回されて、背負っているとはいえ、みみみみみみみ、密着しているわ、わ、わけで?


「夢か確認、みたいな?」

「か、噛む事ないでしょ!?」

「そこに耳があるから」

「山を登るみたいに言わないで下さい…」

「ん?良く分らない」


 ジェネレーションギャップを感じる、これだから年下と話すのは難しい。


「ま、まぁそれはそれとして。ヤタはその、魔法使いだという事、良くわかりました」

「さっきから敬語とか丁寧語になってる、普通に話して」

「あー…これは職業病みたいなもので、意識します」

「よろしい」


 空が白み始めてきた。

 どこを走っていたのか良くわかっていなかったが、これは立ち入り禁止区域に指定されている例の大穴事件のあったエリアに向かっているのでは…。


「魔法でその、バッタを倒したけど、あと何回使えるのかなとか、経験値とか貯まるとレベル上がるのかなとか…知りたいと思って」

「何回と正確には言えないけど、あの魔法は今日は無理かな。杖も無くしちゃってるから」

「杖!?」

「代用で使ったワリバシもすぐ限界来てたし」


 あれは代用で使ってたのか…


「レベルが上がれば全回復みたいなゲームにありがちな事は無いよ、これは現実だし」

「現実っぽくはいんですよねぇ…」


 ため息を吐くと白い息が宙に見える。視界が悪かった闇の世界が終わればバッタも消えたりしないだろうか。


「そうだ、ナイナイのステータスで確認と説明しようか」

「え?」

「あー、それも私といた影響で理解出来てないのか。それじゃあ、ステータスオープンってなんかこう、グァーと開くつもりで叫んでみて?」


 いやいやいやいや、無い無い、それは無いだろ…。



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