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雨森弥太郎は騒がない〜真夜中に拾った少女〜  作者: 猫背族の黑
第一章『真夜中の少女』
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■アパート_廊下/11/11/24:34■

 黒髪ロング、青白い肌、上下黒の衣服の少女と廊下で目があった。


 思わず互いに短く声が漏れる。


 …いやいやいやいや、ちょっと待て。


 少女はどうか知らないが、俺は完全にビビってますよ?

 もちろん大人なので顔には出さないけれど、このアパートは俺以外には誰も住んでないはずなんだ。


 となると?


「もしかして、引っ越して来られた方ですか?」

「…」

「…」


 え…まじか、え、無視ッ!?

 もしくは言葉が通じないか怪しまれてるか?


「あ、あぁ、失礼しました。俺はその角部屋に住んでる『雨森』って者です」

「…」


 少女は無表情と無言を貫く。


 ステータスポイントの振り方で例えるなら可愛いさより美しさに全振りしたような少女なのだが、それがまた少女の不気味さを増長させている。


「あ、あの〜」

「…」


 俺はもしかして何か思い違いをしているのではないだろうか。

 そもそも少女は人なのだろうか?思い返せば先程から微動だにしていないではないか。

 もしかしてマネキンとか人形の不法投棄という可能性はないか?さっきの声は俺の声が反射して聞こえたとか、それなら無視されている理由もわかる。


 良し、もう一度良く見てみよう。

 

 上下黒の衣服だって良く見れば…良く見れば…


 喪服!?


 え、え?しかも裸足だぞ!?

 季節外れのワンピースの喪服!?

 え?考えられる可能性?


 死者が蘇ったか、吸血鬼とか?

 ばばばばばば、バカな事を。

 漫画やアニメの見過ぎだ。


 え、いや、しかし…あ、ああ!

 人形ならば靴を履いてなくても全く問題ないな。


 「GYuuuunn」


 え、え、え、なになになに!?


 異質な音が空間に響き渡る。


 も、もちろん俺は大人なので表情には出さないがが、正直今すぐにでも逃げ出したい。


 しかし、まず音源を特定しないと。逃げる方向が…。


 目前の青白い少女らしき何かが、まず、怖い。

 そして少女との対峙をやめて後ろを振り向くのも、怖いんだよこれが…。


 俺は全く気にしてませんというように前方を確認し、少女を確認し直す。


 あ…れ?


 先程まで青白かった少女の顔色が赤く染まっていく。


 あ、あぁ!!そういう事ね!はいはい!


「もしかしてお腹すいてませんか?」


 ほんのり赤く染まっていた顔が、たちまち熟れたリンゴのように真っ赤に染まった。


 よ、良かった。人間のようだ。


「事情は良くわかりませんが、ここは冷えますから良ければ家で何か食べていきませんか?」


 少女がコクリと音を立てそうな感じで頷いた。


「それじゃ、俺の部屋はそこの角部屋なので行きましょうか」


 少女の横を通り過ぎ鍵を解錠しドア開ける。


 …あれ?


 これって誘拐?

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