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最初に活躍するのが主人公とは言ってない

「クソッタルィヤァァァァァァ!!!! どぉぉぉしてこのヌメルナルメム様が人間に汚されなきゃならねぇぇんだぁぁぁぁ!!?」


 異世怪人にあたしの虹がぶっかかってから数分、あたしと魔法少女二人を放置し、川で触手を洗いながら怒りをあらわにしていた。

 というか凄く言い難い名前だ。


「もう許さない……お前ら全員の関節を増やしてやるッ! まずは俺様にゲロぶっかけてくれやがった貴様からだ」


「なっ、アンタの臭いが酷い上に揺らすからでしょ!」


 ヌメルナルメ厶という異世怪人相手に言い争っていると、不意に青色の子がメガネを外す。

 カラー的にもクール担当の魔法少女……これは期待出来る。


「チッ。さっきから聞いてりゃ程度の低い言葉並べやがって」


 ん……?


「関節を増やしてやるだって? ハッ! 笑わせんな! だったらこっちはお前のその汚ねぇ触手ぶっちぎってやんよ」


「あ、あの〜。そこの黄色い子、青色さんはどうしちゃったの?」


「黄色じゃない! 我が名はオグロナ! 青いのはアオイ! そのメガネは奴の内に潜む第二人格を抑え込む魔道具……それを取ったということは、今はアオイの独擅場! フッ、これは我も力を解放す――」


「キノは中二病だ。あんま信じるな」


「フッ……なるほど、ならばあたしも力を抑え、ここは任せるとしよう」


「バカが増えた」


 そんな冷たい目で見ないでアオイさん。

 ちょっとやってみたかっただけなんですよ。


「おーい、折っちゃうぞー? 無視しないでー?」


「わーってるよ、うっせぇな。キノ、離れてろ」


「わかった!」


 アオイがそう言うとキノは後ろで腕を組み、仁王立ちでドヤっていた。

 一体何をするつもりなんだ……あたしまで吹き飛ばないよね。


「そっちが第二形態ならこっちも第二形態だ」


「なにッ!? まだ本気を出していなかったのか!」


「まぁ見てな。対カイ特化武装・粉砕カイ放ッ!」


 その瞬間、どこからともなく熱風が吹き荒れ、青色ベースのピッチリスーツの周囲にゴツゴツした巨大な金属物が現れる。

 一際大きい胴体部品がアオイを格納すると、右脚、左脚が合体して地面を抉りながら着地。

 続けて右腕と左腕が形成され、同じように胴体部品と合体する。

 頭が上から合体し、最後に右腕にはパイルバンカーが装着された。


「さっきまでの姿は言わば『変身途中にチラッと見えるフォーム』……私たちは完全に変身すらしていなかったのさ」


 五、六メートルはあろう青い人型のロボットから、アオイの声が聞こえてくる。

 威圧感のある風貌をしたロボットは、熱気を放つと背に光の輪を展開する。

 その姿はまるで、後光が差す巨神だ。


「ば、バカな……! お前たちは『魔法少女』のはず!」


「なんだよ世間知らずか? お前たち異世怪人の世界じゃ魔法が当然なんだろ? だからこっちも魔法が使えると思い込ませ、無意味な対策をさせた上で文字通り打ち砕く。それが私たち、『魔法少女』だ!」


「『物理少女』の間違いじゃねぇか! とんだ詐欺集団だ!」


「戦略的と言ってもらおうか! 行くぜ相棒、《ラグデウス・ハスタ》! 必殺――ッ!」


「ちょ、初手必殺はルール違反だろ!!?」


「何言ってんだ、暇じゃねぇんだからとっとと終わらすに決まってんだろ。ってなわけで、砕け散れッ! 【ブルーインパクト・ラグデウス】ッ!」


 慌てる触手を左手で掴み、右腕に装着されたパイルバンカーを至近距離で押し当てる。

 刹那、内部火薬が炸裂し、巨槍が凄まじい勢いで発射された。


「うぐるぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! おのれ、おぉぉのぉぉぉれぇぇぇぇぇ!!!」


 パイルバンカーの威力はやはり凄まじく、触手に大穴を開けて貫通し、奥の地面すらも抉っていた。


「黙ってあの世に逝ってな。閻魔様に迷惑かけんなよ」


「クソガキがァァァ!!!」


  こうして触手の異世怪人・ヌメルナルメルは爆散し、世界の平和は守られた――。


「ふぅ……あの、大丈夫かしら?」


 ロボットの胸部が上下に開き、操縦席に座るアオイがメガネをかけて微笑んだ。

 末恐ろしいわこの子……。


「あ、だっ、だだ大丈夫! すごいね、その……ロボット」


「ありがとう! この子は《ラグデウス・ハスタ》……私の相棒なのよ」


「あーあー、また地面掘って……司令に怒られるぞ」


「うぐっ、い、威力と引き換えなら安いものよ……! って、そんなことよりも……あなた名前は?」


「あ、あたし? 人並(ヒトナミ)飛彩(ヒイロ)……中三だけど」


「ヒイロね、私は相神(アイガミ)青依(アオイ)。あなたと同じ中学三年よ。そしてこの子が……」


「我はもう名乗った」


「……ゲンコツ喰らいてぇのか?」


「ひゃ、ひゃい……この世界での仮の名は鬼嶋(キジマ)黄乃(キノ)、中学一年生だ……よろしく頼む」


「う、うん。よろしく」


「さて……悪いけど、あなたにはちょっと私たちと同行してもらうわ。有無は言わせない」


「あーはいはい……ん? はいっ!? ここで記憶消去とかそういうのじゃないんです? 同行するんですか??」


「キノ、やって」


「えー……」


「……我が主、オグロナ様。その力で彼女を一度封印していただけますか?」


「フッ、そう言われては仕方あるまい! せいっ!」


「話を聞いガハッ!? うぁ……封印てそれただの手刀――――」


 キノに首元をトンと打たれたあたしは、そのまま気を失ってしまった。

 それにしても……最初に活躍するのが青色ってどういうことなの……。

次回は変身出来るといいね、ヒイロちゃん☆((殴

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