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第一話「血に流れる祖の記憶」
額に広がる鉄の生臭いにおいが今日も彼女の鼻に嫌なほどにまとわりつく...
辺りは暗くまだ天には星の枝垂れ桜が掛かっている。そんな中彼女は刀で、
神を狩る
夜は神の『眼』が鈍くなって狩りやすい。
今のうちに減らしておかなければ明日には
〔?〕「祟る...」
ただひたすらに神の寝首をかく。
むせ返りそうな返り血なんて気にしていられない、命を守るにはそれしか無い...
冷たい風が頬を刺すと夜が明ける合図だ。
その瞬間が彼女の唯一の安心できる時間、安堵を噛み締めながら彼女は帰るのだった...
まだ暗いが自分の家を探し出すのは容易い、両親の稽古は確かに厳しかったが、こういう場面では有り難さが身にしみる。
家の前には百もの石階段が連なっているが、もう帰りたい気持ちひとつで一心不乱に駆け上がる。寝床につき、
そうして今日という日は終わるのだった...
彼女の名は...
山神 雫