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Ep.8 ハイファスの街へ




『≪巻戻し(REVERSE)≫』




―――俺は≪固有能力≫(ユニークスキル)『動画編集』によってメリル姉ちゃんがこの土地の領主の息子に連れていかれる日の朝まで戻る。今いるのは毎朝起きる度に『≪録画(REC)≫』してる俺の部屋だ。


「あれ?荷物がない...」


 黒髪ロングの幼馴染のルルから貰った領主の館があるハイファスの街へ行く為の準備金に紺の魔法衣(ローブ)

赤いガーベラの魔石付きの魔法の杖は俺の≪固有能力≫(ユニークスキル)『動画編集』で一緒に時間を遡る事は出来なかったようだ。

他人から貰った持ち物は駄目なんだろうか?

それか人間だけでなく同じ時間の世界に同じ物が二つ存在する事は認めないって事か?


「ルルと会うの怖えな...」


 魔法の杖や紺の魔法衣ローブにお金がルルの手元に残ってるといいんだが...

とにかく領主の屑息子に連れていかれたメリル姉ちゃんを助けに行く為に俺達の住んでいるアルビス村から領主の館があるハイファスの街へ行ける馬車に乗る準備をした。


「どうしたの?レック兄ちゃん?」


 今年で10歳になる妹のエルレが出掛ける準備をしている俺に聞いてくる。


「ちょっとハイファスの街に行って来るから父さんと母さんに伝えておいてくれ」


 農家である両親は毎朝必ず畑の様子を見に行ってるので今の時間帯は大抵いない。


「分かった」


 茶髪で目がぱっちりしてる俺の妹は間違いなく可愛い。


 家を出て、まず道具屋でフード付きの紺の魔法衣(ローブ)を買った。

毎回ルルに付き合わされてる魔物退治のおかげで俺にもちょっとした蓄えがあったからお金の心配は無かった。

街へ行く準備してから朝出発の馬車に乗り、ハイファスの街に着いたのは昼過ぎだった。


 ハイファスの街は5メートル以上の高さがある立派な岩の外壁に囲まれている。

俺が住んでいるアルビスの村はせいぜい2メートルくらいの土壁だった。


 俺達も暮らしているこのメリーヌ領を治めている領主が住んでいる中心都市と言う事でハイファスの街は1万人以上の規模だ。


 俺の乗っている馬車がハイファスの街の西門に辿り着く。

街の中には何か身分を証明する物を提示するか簡単な魔法を披露すれば街へ入る事が出来る。


 何故魔法を披露すれば街へ入れるのかと言うと、この世界の魔法は精霊の力により具現化されるので悪意を振り撒くような人間は精霊に愛想を尽かされ魔法使用が不可能になるからだ。

噂の領主の屑息子は多分魔法は使えない。魔法を使えない筈の人間が領主の後継者候補で居続けられるとは思えないんだけどな。


 正門の通行人受付で魔法チェックを受けた後、鋼の鎧を完全武装してる騎士のお兄さんに話しかけられる。


「お前さんはアルビスの村から来たのか?」


 正直に言った方が良いんだろうか?

この時間帯だと、まだメリル姉ちゃんは領主の馬車に無理矢理乗せられてないかもしれない。

なら正直に言っても大丈夫か?


「はい。あのー領主様の御屋敷ってどこにありますか?」


 騎士のお兄さんの顔色が変わった?


「何故領主の館の場所を聞く?」


「領主様の御屋敷でメイドをしている姉さんに会いたくなって...」


「そうか...」


 騎士のお兄さんの表情が陰る。


「なあ。もしそのお姉さんが辛そうにしてたら俺に教えてくれないか?」


「どうしてですか?」


「いや領主様の息子の評判が悪くてな...この土地に派遣されている王国の騎士達はなんとかしたいと思ってるんだ」


 皆この土地の領主の屑息子には頭に来ているのかもしれない。


「お姉さんに会えるかわからないけど様子がおかしくないか見てきます」


「頼んだ。俺の名前はアデルだ。あの外道息子を訴えてくれる娘がいれば良いんだが大金を握らされてるからか誰も真実を語ろうとしなくて困ってる」


「そんなに酷いんですか?」


 すると俺の質問に騎士のお兄さんは怒気を含んだ声で応えた。





「領主の息子じゃなきゃあの外道の股間は俺の斧で潰してやってるさ」


 俺の幼馴染の同志がいた。


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