Ep.7 幼馴染との約束
「ルル。このメッセージ見てみて」
俺の固有能力『動画編集』により時間の止まった青白い空間が展開されている。
既に固有能力の活動空間の中で仲間認定されている黒髪ロングの幼馴染ルルはこの空間内で動くことが出来る。
「...何?」
未だに切なげな俺の幼馴染が青白い画面に啓示されている神様?からのメッセージを読んだ。
「これってどういう事?」
メッセージを読んだルルも意味が分からないって様子だ。何故か自分の事まで言及されているのだから当然か。
なんだろう毎回俺の幼馴染に甘い気がするメッセージは?
「多分神様からの神託のようなモノなんだと思う。時間を遡ってもまた元の時間に戻れるらしい」
「...そう」
黒髪ロングの幼馴染はそう頷いて目を閉じて黙ったままだ。
「メリル姉ちゃんが連れていかれたハイファスの街に行くには馬車でも半日はかかる。
時間を遡って昼前にはこの村を出る馬車に乗らないとメリル姉ちゃんが領主の館に連れてかれる前に街に着かない」
俺が時間を遡る事を嫌がっているルルに説明する。
「...分かったわよ。絶対私がいるこの時間に戻ってきなさいよ!領主の屑息子の股間をレックの≪炎渦≫
で燃やして来るのよ」
お願いだからそのキャラ止めて...
でもさっきまでの暗かったルルとは違い、どこか嬉しそうだった。
固有能力による時間停止を解除した後、ルルからハイファスの街へ行く準備金や防具屋で買った紺の魔法衣をもらった。
「あとこの魔法の杖も渡しておくから絶対返しに来なさい」
「分かったよ」
ガーベラをモチーフにして彫られた赤い魔石付きの魔法の杖をルルから渡された。
人目を避けた場所で俺の固有能力で時間を遡る準備に入る。
「じゃあメリル姉ちゃんを助けに行ってくるよ」
「メリルお姉さんの事、お願いね」
「ああ。『≪巻戻し≫』!!」
青白い光に包まれて俺の姿は消えていった...何かが落ちた音がした。
「...アイツ」
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「...よし。今日の朝に戻れたか?アレ?ルルの杖が無い?」
幼馴染との良い感じの約束は守れそうに無い。