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Ep.4 初恋だった幼馴染



「ゴブリンやオークは私の魔法で絶対潰す」



 12歳の時にゴブリンの巣に連れ去られそうになった俺の幼馴染のルルはすっかり変わってしまった...

あれ以来、村で魔法の指導をしてくれるルクセラ先生を師事して熱心に魔法を学び、次々に新しい魔法を習得している。


 俺は未だに≪炎渦(ファイアスワール)≫しか魔法は使えないのけど、ルルはかなり優秀な魔法使いの卵のようだ。

得意技は風魔法で氷の回復魔法≪癒雪(ヒールスノウ)≫も使える。

ルルは俺のような固有能力(ユニークスキル)の持ち主ではないけど二属性の魔法が使えるという事で

優秀な魔法使いの卵として成人の儀を終えた後に、固有能力(ユニークスキル)持ちの俺同様にブルナーレ王国の王都に一度召喚される事が濃厚だ。


 しかし今の黒髪ロングの幼馴染の姿を見ると溜め息が出てしまう。

普通の村娘の格好をしているんだけど腰にはゴツい魔法の杖をぶら下げていて、動きやすいように立派な革のブーツを履いている。

ガーベラをイメージして彫られた赤い魔石が杖の先端に付属している魔法の杖は魔法の師匠のルクセラ先生からもらったらしい。


「...何よ?」


「なんでもない」


 昔のルルは読書が好きで大人しいけど白幻百合のような凛々しさも感じる女の子で密かに好きだったのに今ではもう別人だった。

まず目の鋭さが半端じゃない、綺麗な黒髪ロングも今では迫力を感じる。


 ルルが新しい魔法を覚える度に俺は魔物退治に付き合わされるようになった。

特にゴブリンの巣の情報が入ったらもはや蹂躙状態だ。

俺の固有能力(ユニークスキル)『動画編集』で時間を止めてゴブリンに捕まっている人がいないか調べたら後はもう一方的に攻撃魔法をぶちかまし続けるだけだ。



『≪鋭風爪(シャープエッジ)≫!!』


『≪風斬(エアスラッシュ)≫!!』



 ルルがゴブリンやオークを見かけたら必ず下半身目掛けて攻撃魔法を放っているけどこれは俺の気のせいに違いない。


 ルルが魔物を大量に倒すおかげでたしかに俺のレベルも上がっている。今は俺がLv.13、ルルはLv.15だ。

成人の儀直前とはいえ子供にしてはかなり高いと思う。


 魔物退治をしている時に気になるのはルルの魔物に対する強気さだった。

いくら攻撃魔法が使えるとはいえ魔物と戦う以上、絶対にどこか怖さがあるはずなのにルルからはそれを感じない。

これは俺の固有能力(ユニークスキル)と関係してるのかもしれないと最近になって感じ始めた。

時間を止められるなんて神様にも匹敵するほどの能力は人格まで変えてしまうのではないか?と正直怖い。

俺が戦闘狂みたいになっていないのは魔物のいる森では火魔法の≪炎渦(ファイアスワール)≫を積極的に使えないのが大きい。


 ルルの豹変を見ていると俺の能力は不用意に明かせない。

未だに両親にも言ってない。俺の両親は冒険者でも騎士でも何でもない普通の農家だった。妹エルレにだって言える訳ない。

成人の儀を迎えて、固有能力(ユニークスキル)の持ち主だと発覚した後、どうしよう?というのが今の俺の悩みだ。



「成人の儀も近いしもっとレベル上げたいから魔物が出たら手伝うよ」


 黒髪の幼馴染とそう約束してそろそろ本当に家に帰りたい。





「ただ魔物を狩るだけじゃ物足りない。ゴブリンやオークは股間を潰してやらないと気が済まない」


 さらば俺の初恋。



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