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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
98/102

『幼児化の部屋』

 幼児化:身体が子供になること。または態度や性格が子供のように振る舞われること。



「うわっ! なんだこれ!!」


「私達、今度は子供になったみたいだね。見た目は子供だけどあなどっちゃいけないよって話かな?」


「なんか、今日のテーマが幼児化らしいな」


「テーマだからって私達が幼児化するなんて……こんなことが可能なら、そのうち魔法も使えるんじゃないかな?」


「なんでもありすぎるだろ。詰め込み過ぎると嫌われるぞ」



 ○○○○○○○○



「けど、ここまで小さくなると何もすることがないな」


「そうだね。幼稚園児だもんね。あ、スモッグ着てみる?」


「は? なんだよ、スモッグって」


「ほら、あの水色のやつだよ。幼稚園児が着てるやつ。アニメとかでよく見ない?」


「……却下する」


「えー、幼児化の基本って言ったらスモッグだよ~~。第一、幼児化したのに来てる服も同時にちぢむってどういうことなの? ここは服が元のサイズで身体だけ小さくなるロリコンへのサービスシーンなのに!」


「やめろ。犯罪者予備軍を増やすな」



 ○○○○○○○○



「しかしあれだな。ここまで景色が違うと、大人が巨人に見えそうだな」


「昔はそう見えてたんだね」


「せっかく幼児化したんだから、何かした方がいいのか?」


「この身体で出来ることなんて、鬼ごっこくらいしか思いつかないよ」


「……疲れることはパスで」


「本当に身体だけ子どもになったんだね」


「考えてみろ。子供の頃ならいいかもしれないが、中身はそのままなんだ。恥ずかしくて全力疾走なんてできないだろ」


「そうかな? 私はいつだって全力疾走できそうだけど」


「……」


「あ、いま失礼なこと考えた?」


「ああ。こいつは頭脳も子供だったんだなって思い出した」


「そこははぐらかそうよ!! なんで包み隠さないの!?」


「包み隠すほどの事でもないだろ。これまで散々、露呈させてんだから」


「……こ、こんな子供ヤダ」



 ○○○○○○○○



「お兄ちゃん、昔はそんなんじゃなかったのに。どこで道を踏み外したのさ」


「道なんて踏み外してないだろ。髪も染めてないし。ほれ、黒のままだ」


「……言い方を変えるよ。お兄ちゃん、どこでそんな大人びた性格になっちゃったの!?」


「元からだ」


「違うよ! 小学校の頃とかは泥だらけになって遊んでたもん!」


「……ふっ、受験が俺を変えたのさ」


「ありがちだけど、お兄ちゃんには当てはまらないよ。受験だって楽に受かるところ選んだでしょ? おかげで私は、大迷惑したんだから」


「大迷惑って、お前が一緒の学校選ぶからだろ? もっと確実に入れそうなところ受ければよかっただろ」


「お兄ちゃんと一緒になれないじゃん!!」


「人生の岐路を、そんな私情で選ぶな」


「お兄ちゃんにだけは言われたくないんだけど……」



 ○○○○○○○○



「しかしあれだな。こうして言い合いしてるけど、傍から見たら幼児の言い合いなんだよな」


「……なんか、あれだね」


「そうだな。すごく子供っぽいな」


「けどこれがわかるってことは、俺達も大人になったんだな」


「外見は幼稚園の年少さんだけどね」







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