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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
94/102

『VRの部屋②―シューティング―』

 

「ふぅ……なんかちょっと疲れたかも」


「慣れてないからな。交代するか」


「うん、そうしよ。……あ。ちょうど届いたみたいだよ」


「ん?」


「ほら、そこに箱が置いてあるよ。んしょっ。ゲームが二本届いたよ」


「二本? どんなジャンルなんだ?」


「シューティング・ホラーの二本セットだって」


「ほう……それじゃあシューティングからやってみるか」


「わかったよ。ソフトを入れて……うん、オーケーだよ!」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「(……すごいな。本当にゲームの中にいるみたいだ。見渡すと本当に空や人が見えてくる。ん、こっちに誰か来るのか?)」


『よく来た。お前はわが軍のホープ。これからの任務の要はお前だ。存分に暴れてくれ』


「ヒトミ、このゲームってどんな設定なんだ?」



「うんとね、主人公は軍のホープなんだって。それで、最前線で戦う兵士みたいだね。幼い頃に妹と一緒に戦争で祖国を追われた主人公は、妹を護るため、そして失われた祖国を取り戻すために軍隊に入隊して、取り戻すその日まで銃を握ることを誓ったらしいよ」



「なんか、すごく適当な設定だな」


「兄妹設定が最強だね!!」


「お前の盛り上がるところはそれだけだろ」


『では、幸運を祈る』


「隊長みたいな奴が敬礼して去っていったな。これ、FPSみたいなもんか。操作方法はどうなってるんだ?」


「操作方法? ちょっと待ってね……うわ」


「どうした?」


「なんか、リロードとか照準とか意味不明の単語がずらりと……」


「……こっちでなんとなくやってみる」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『戦闘開始!!』


 バンッバンッ!


「お兄ちゃんすごい! 操作ちゃんと出来てる!!」


「なんとなく操作してみたら当たったな。しっかし、この緊迫感凄いな。どこに敵が潜んでいるかわからないんだが、実際に自分の首を動かさないと見えないのか」


「本当に戦ってるみたいな感覚になるの?」


「実際はもっと恐怖感満載だろうが、これでもかなりだな。何より……うわああ!!」


「ど、どうしたの!?」


「敵から放たれる銃撃がすげぇ怖い。いきなりでパニックになりそうだ」


「……(お兄ちゃんの怖がる姿、レアかも。きっとホラーゲームも。ふふふ)」


「うわっ、のわ!」


「お兄ちゃん頑張れ!! あ、右に敵がいるよ!」


「右っ!? おわっ!」


 ズダンッ!


『――! おい、撃たれたぞ! 後ろへ運べ!!』


 ゲームオーバー。



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「……ふぅ、疲れた」


「お疲れ様、お兄ちゃん。どうだった?」


「本当に戦場にいる気分だったな。二度と行きたくないけど」


「それじゃあ、この調子で次のゲームも挑戦してみようよ」


「……」


「ど、どうしたの? ゴーグル脱がなくても、次もお兄ちゃんが」


「何企んでるんだ?」


「な、何も企んでないよ!!」


「どうだか。次ってホラーゲームだろ? 俺がプレイしている後ろから驚かせるつもりだとしたら、お前を許さないぞ」


「(そ、そんな手があったなんて)……し、しないよ。お兄ちゃんに嫌われたくないし」


「ほう、そうか」


「もちろん!」


「じゃあ、お前がやってくれ。VRに酔ったんだ。慣れないと難しいな、これ」


「え……」


「ん? 兄が苦しんでるんだから、妹なら助けてくれるだろ?」


「……わ、わかったよ(こ、断れない。ホラーなんて大の苦手なのに!!)」


「(ホラーが苦手な事は知ってる。だが、こいつの計画通りにはさせん)」


 こうして、ヒトミがプレイヤーとなってしまった。







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