『体力テストの部屋』
体力テスト:体力を測る時間。運動が苦手な者にとっては地獄の時間。
「最悪だな……体力テストの日ほど学校を休みたいと思った日はない」
「そうなの? 意外だね、お兄ちゃん。もっと休みたいって思ってそうなのに」
「……出来れば、体育のある日は全て休みたい」
「正直すぎだよ。それじゃあ卒業できないでしょ」
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「でも私も苦手だなぁ、体力テスト。握力とかならいいんだけど」
「俺はシャトルランが嫌いだ。あと反復横跳び」
「その二つは確かに……。特にシャトルランなんて拷問に等しいよね」
「ああ。あれはまさしく鬼の所業だ。あの競技を思いついた奴はきっとサディストに違いない」
「それはどうかな? 体力テストに相応しい種目として考えたんじゃないの?」
「馬鹿野郎! 体力テストなんて、インドア派には苦行に変わりないんだよ!! 体力テストに相応しい? ハッ! 体力は簡単に身につくけど、頭の程度はそう簡単に身につかないんだよな、これが。あんな20メートルを何度も何度も往復して身につくことなんて、持久力以外にないだろ!!」
「お兄ちゃん、シャトルランはそれが目的なんだよ?」
「……よし、このお題閉めるか」
「さすがに早すぎるよ!! 文字数少なめの作品だけど少なすぎるよ!!」
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「体力テストは、確かに運動好きには有利かもしれないよ? でも学力テストはそうならないもん」
「……学力テストなんて、授業受けてればなんとなく点数とれるだろ。体力テストは、普段から運動してない限りは点数すら取れない」
「た、確かにそうかもしれないけど。それなら運動すればいいんじゃ――」
「運動は面倒だからやらん」
「その心構えが一番の原因だと思うけど……でも、ブレないお兄ちゃん最高!」
「それにな、体力テストはもう一つ厄介なことがある」
「厄介な事?」
「……平均が出てしまうことだ」
「あー……」
「男子と女子で分けて平均を出してしまうが故に、あまりにも握力が低かった時は他の男子に馬鹿にされるんだよ。『お前の握力女子じゃん! あ、こいつと手握ったら女子と手を握ったことになんじゃね?』ってな!」
「重い……もしかして実体験?」
「まあな。どうしてそんな顔で見るんだ?」
「い、いや……聞いちゃいけないこと聞いた気がして。ち、ちなみに握力以外はどうだったの?」
「聞くな。大体想像より酷い」
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「平均が出るのって人によっては悪魔のような行為なんだね」
「そうだ。平均ってことは上も下もいるからな」
「そういえば、小学生の頃って足の速い子がモテたりするよね。そして歳を重ねるにつれて顔から収入に移り変わる……ま、私はお兄ちゃん一筋ですけど!」
「運動が評価されることって、確かに多いよな。その分、インドアだと評価される機会に恵まれてないのか」
「大丈夫だよ! お兄ちゃんには私がいるもん!」
「……はぁ、空から美少女が降ってきたり、謎の転校生と学園ファンタジーに巻き込まれたりしないかなぁ」
「お、お兄ちゃん! 現実逃避が過ぎるよ! それに美少女を目の前にしてそういうこと言ってると刺されるよ!?」
「……はっ」
「鼻で笑われた!? で、でも嬉しい……」
「変態だろ」




