『餅の部屋』
餅:もち米から作られる食品。色々な食べ方がある。
「お兄ちゃん、お雑煮作ったよ」
「おう。そういえば、日本の東と西で雑煮にいれる餅の形が違うの知ってたか?」
「そうなの?」
「四角と丸で分かれるみたいだ。勉強になったか?」
「新年早々に勉強したくないよ」
「おい、受験生に失礼だぞ。センター試験は年明け早々に行われるんだからな」
「うぐ、頭が……」
「嫌いなことを考えて頭痛か?」
「はーはっは! 私は帰ってきた! この世界に舞い戻って来たのだ!!」
「急に中二病暴発させるな。現実逃避も苦しすぎるぞ。それに大体、発動条件のセリフは腕だ。頭じゃない」
「お兄ちゃん、何でそんな中二病に詳しいの?」
「経験者だからだ」
「……すみません。師匠」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「ふぅ、美味しかったね~~。お餅って普段あまり食べないけど、こうして食べると美味しいね」
「そうだな。しかし餅はハイリスクな食べ物だよな」
「あぁ、喉に詰まるからでしょ? お正月のニュースでよく見るよね」
「世間には餅を丸呑みするような集団もいる一方、同じような年齢で詰まらせる人もいる。餅を食べる時は全神経を集中させるべきだろうな」
「そんな大袈裟な」
「いや、そんなことないぞ。これから新しい年が始まるって時に餅で死にたくはないだろ。それくらいの覚悟を持って食べるべきだ。もしくは、食べないことが一番だな」
「そうかもしれないね。食べないことが一番安全だよ」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「餅ってお正月以外にどんな時に食べるのかな?」
「そうだなぁ、祝い事ってイメージが強いな。それに餅と言っても色んな種類があるからな。日本の餅の食べ方って、本当に恐ろしい種類あるんだぞ」
「そうなの? ちょっと調べてみよ…………うわっ! こんなにあるの!? 中には餅とは思えないネーミングがあるし」
「日本の伝統と文化を感じるな」
「……」
「どうした?」
「お兄ちゃんの口から聞くと、皮肉に聞こえそうで」
「お前の俺に対する評価がよぉく分かった」
「ち、ちがっ! お兄ちゃん!」
「……弁明を聞こうか」
「お兄ちゃんの事は餅のように粘り強く愛してるに決まってるよ!!」
「……」
「お兄ちゃあああああああん!!! カムバアアアァァッック!!!」




