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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
89/102

『元日の部屋』

 元日:あけおめの日。お年玉を貰う側は天国、あげる側は地獄。

 


「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」



「ふう、オーディエンスへの挨拶も済ませたことだし、寝るか」


「また寝るの!? カウントダウンに続いてまた寝るの!? あ、ほらほら、普段は見れない正月特番とかやってるよ?」


「テレビ? 俺はパス。最近のテレビは面白くないし」


「ネット社会の侵略!!」


「ああ、違うぞ。別に動画サイトを眺めるわけでもネット小説を読むわけでもない。ただ単に、俺は元日だけは何もせず、一年で一番寝る日って決めてあるんだよ」


「初めて聞いたよ……十数年一緒に生きてるけど、初耳だよ」


「つまり、俺とお前の絆はその程度ってことだ」


「新年早々に毒吐かないでよ! 私とお兄ちゃんの絆は数値では表せないほどのすごさなんだよ!」


「ふうん」


「せめて起きてリアクションしてよ!! ……もう、私もコタツでゆっくりしよー」


「お、おまえもこっちの世界に来るか?」


「こっちの世界って……」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「あ、そうだ。初詣って行ったことないよね。行ってみる?」


「ZZZ」


「そんなあからさまな漫画効果音出しても、目の前でミカン食べてるの見えてるよ。口でゼットゼットゼットって言いながらミカン食べてるでしょ」


「ちっ、これだから同じ二次元は」


「どういうこと!?」


「しかし、初詣の映像って恐ろしいよな。どうして寒い中、わざわざ神社いかにゃならんのだ」


「完璧インドア派のセリフだね」


「やったな。インドア派歓喜だ」


「……お兄ちゃん、そんなんだからモテないんだよ」


「なんだと?」


「まあ、私にとっては好都合だけどね。お兄ちゃんは誰にも渡さないんだから」


「おい、どうして初詣に行かないとモテないってことになるんだ」



「だって、カップルってそう言うイベントに興味津々でしょ? クリスマスもハロウィンも、お兄ちゃんはインドアを貫いてたし、そんなんじゃ彼女なんてできないよ」



「なん、だと……」


「そこまでショックだったの!?」


「元日早々にやめろ。そんな不吉な話」


「え、不吉じゃないよ。私にとっては最高の展開だもん。だから、ね? さっさと私を選んじゃおうよ」


「初夢は悪夢か」


「そこまで言う?!」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「一つ反論させてもらおう。インドア派だからと言ってモテないとは限らない。同じくインドア派が相手なら、これ以上ない組み合わせだろ」


「元日からどうしてこうなったの?」


「お前が振ってきたんだろ」


「やめやめ。もっとまったりしようよ。ほら、正月特番でも見て」


「寝る」


「ふふっ。妹ルート一直線の選択肢だね」


「不吉なこと言うな」









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