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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
86/102

『流行語の部屋』

 流行語:流行の言葉。造語もあり。流行れば当てはまるガバガバな基準。

 

「流行語もクリスマスも終わったし、いよいよ年末って感じだね」


「待て。流行語で一年の終わりを感じ取るのか?」


「お兄ちゃんは違うの?」


「ああ。流行語が発表されたからと言って一年の終わりは感じないな」


「えー、だって一年通しての発表だよ?」


「そもそも、俺は流行って言葉が嫌いなんだよ」


「わ、でた。お兄ちゃんの頑なな流行否定。俺流は今の時代にあってないんじゃないかな?」


「じゃあ訊かせてもらおう。流行してるから何がいいんだ?」


「な、何がいいってことはないと思うけど……ほら、話題についていくには知っておく必要があるんじゃない?」


「はぁ」


「深い溜息……何か違った?」


「あのなぁ、流行ってしようと思えば流行になるんだよ」


「ど、どういうこと?」


「例えば、小さな集落で頭に壺を乗せることが流行るとするだろ? そうしたら、その集落では頭に壺を乗せる行為が流行になるんだ」


「ふむふむ」


「そんな中、一人は頭に壺を乗せずに脇に抱えたとする。それを見て他の人たちも真似をする。そうしたらそれが流行になる。ほらな」


「ほらな。――って、何もわかんないよ!!」



「つまり、どんなことでも流行になり得るってことだ。流行だからと言って優れているわけではなく、それはただの人真似に過ぎない。つまり、流行に乗るという行為はただの真似なんだよ。」



「で、でも、流行語は違うんじゃない?」


「……」


「あ、黙った」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「でもお兄ちゃん、もし私達の発言が流行語を席巻したらどうする?」


「どうもこうも、ありえないだろ」


「いや、もしかしたら――」


「そう話してる時点で、実現することが無いんだよ」



「えー、でもふとした言葉が社会的には流行じゃなくても、周囲では流行することってあるよ? それがSNSとかで使われて拡散し始めたら、現代社会において流行語になることも不可能じゃないよ!」



「そう言われて見ると、そうかもな」


「でしょ? 今の社会ってどことなく自分大好きアピールがはびこってるから、便乗すればいけるよ」


「言い方はどうかと思うが、確かに面白いな。俺達で流行語を考えてみるか」


「……」


「どうした?」


「あ、いや。言っておいてあれなんだけど、流行語を考えてる時点でダサい気がして」


「……言うな」








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