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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
85/102

『クリスマスの部屋』

 クリスマス:サンタの勤務日。

 


「お兄ちゃん、メリークリスマス! ほっほっほお!」


「……」


「さすがにノーリアクションだと恥ずかしすぎるよ、お兄ちゃん」


「妹のサンタコスを見てどう反応しろというんだ」


「もちろん、褒めちぎってよ! ミニスカサンタだよ!?」


「コスプレ感バリバリじゃないか。サンタでミニスカだったらプレゼント配ってる途中に死ぬぞ。寒くて」


「あ、煙突を潜る時も危ないね。パンチラしちゃう」


「今の家、大体煙突ないだろ」


「マンションとか、不可能だよね」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「クリスマスか。街がカップルに埋め尽くされるイベントだな」


「お兄ちゃん、私と一緒にリア充さん達の仲間入りしちゃう? パリピっちゃう?」


「妹と一緒に街に出ても充実しないだろ」



「そんなことないよ!! 妹だって立派な女の子だよ!? リアルJKなんだよ!? 一緒にいたら傍から見ればそうとしか思えないって! だって私達だもん! 最高の組み合わせじゃん!! もっと熱くなろうよ! そろそろ熱く愛を育んでいこうよ! 恋愛模様に発展しようよ!」



「やめろ、雪が融ける」


「……ふぅ。ところでお兄ちゃん、クリスマスと言ったら何を思い浮かべる?」


「お前の情緒どうなってんの?」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「クリスマス……お兄ちゃんはサンタをいつまで信じてた?」


「は? サンタはいるだろ」


「……え、あ、うん。そうだね、私というミニスカサンタがいるもんね! ほら、スカートめくってみる? プレゼントはわ・た・し❤」


「やめろ。サンタを汚すな」


「……(もしやお兄ちゃん、マジなタイプ? 本気で信じてるタイプなの?)」


「しかしミニスカサンタってのはあれだな。ミニスカポリスみたいだな」


「そ、そうだね(わからない……お兄ちゃんの真意がわからない。しかし、サンタを信じてるお兄ちゃん、めっさ可愛いよ!)」


「ん、どうした? あ、そろそろ寝ておくか? ほら、お前の分の靴下も用意しておいたよ」


「あ、うん。ケーキ食べてから寝ようよ」


「仕方ないな」


「(うわ、これガチなやつだ!! どうしよう、どうすればいいの?)」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「おやすみー」


「ああ、おやすみ」


 パチッ。部屋が暗くなる。



「(……どうしよう。ケーキは美味しかったけど、寝る直前にお兄ちゃんが靴下に何か入れてるのが見えちゃった……プレゼントを知りたいってわけじゃないけど、この部屋はサンタ来ない仕様なんだよ!!)」



「すー、すー」



「(恐ろしく寝つきがいい!! お兄ちゃんとこんな至近距離で寝られるなんて天国のようだけど、精神状態はまさしく地獄だよ! サンタもトナカイも服や鼻の色とは違って真っ青だよ!)」



「すー、すー」



「(……でも安心してね、お兄ちゃん。このキュートなミニスカサンタが、お兄ちゃんの願いを叶えてあげるよ! お題の人に完全に頼り切るつもりだけど!)」



 ヒトミは静かに起き上り、靴下の中身を確認した。


「……」


『うるさくない妹がほしい。無理なようなら、妹を持っていってください』


「……もう、お兄ちゃんったらツンデレなんだから。そういうことだよね。お題の人、大きめの靴下くれませんか?」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「ふわぁあ……あれ、ヒトミがいない。もしかして願いが叶ったのか?」


 ユウジが靴下を見て絶句した。

 そこには異様な大きさの靴下があって、何かが入っている。


「もしや、望み通りに……」


 ゴクリ。

 ユウジが靴下をめくると、そこにいたのはミニスカサンタだった。


「お兄ちゃん、私をあ・げ・る」


「……」


 キュッ!


「え、お兄ちゃん!? なんで縛ってるの!?」


「もっかい寝よ……」




「お兄ちゃん? これじゃあ出られないんだけど…………お兄ちゃあああああああんッッ!!!!」




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