『クリスマスの部屋』
クリスマス:サンタの勤務日。
「お兄ちゃん、メリークリスマス! ほっほっほお!」
「……」
「さすがにノーリアクションだと恥ずかしすぎるよ、お兄ちゃん」
「妹のサンタコスを見てどう反応しろというんだ」
「もちろん、褒めちぎってよ! ミニスカサンタだよ!?」
「コスプレ感バリバリじゃないか。サンタでミニスカだったらプレゼント配ってる途中に死ぬぞ。寒くて」
「あ、煙突を潜る時も危ないね。パンチラしちゃう」
「今の家、大体煙突ないだろ」
「マンションとか、不可能だよね」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「クリスマスか。街がカップルに埋め尽くされるイベントだな」
「お兄ちゃん、私と一緒にリア充さん達の仲間入りしちゃう? パリピっちゃう?」
「妹と一緒に街に出ても充実しないだろ」
「そんなことないよ!! 妹だって立派な女の子だよ!? リアルJKなんだよ!? 一緒にいたら傍から見ればそうとしか思えないって! だって私達だもん! 最高の組み合わせじゃん!! もっと熱くなろうよ! そろそろ熱く愛を育んでいこうよ! 恋愛模様に発展しようよ!」
「やめろ、雪が融ける」
「……ふぅ。ところでお兄ちゃん、クリスマスと言ったら何を思い浮かべる?」
「お前の情緒どうなってんの?」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「クリスマス……お兄ちゃんはサンタをいつまで信じてた?」
「は? サンタはいるだろ」
「……え、あ、うん。そうだね、私というミニスカサンタがいるもんね! ほら、スカートめくってみる? プレゼントはわ・た・し❤」
「やめろ。サンタを汚すな」
「……(もしやお兄ちゃん、マジなタイプ? 本気で信じてるタイプなの?)」
「しかしミニスカサンタってのはあれだな。ミニスカポリスみたいだな」
「そ、そうだね(わからない……お兄ちゃんの真意がわからない。しかし、サンタを信じてるお兄ちゃん、めっさ可愛いよ!)」
「ん、どうした? あ、そろそろ寝ておくか? ほら、お前の分の靴下も用意しておいたよ」
「あ、うん。ケーキ食べてから寝ようよ」
「仕方ないな」
「(うわ、これガチなやつだ!! どうしよう、どうすればいいの?)」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「おやすみー」
「ああ、おやすみ」
パチッ。部屋が暗くなる。
「(……どうしよう。ケーキは美味しかったけど、寝る直前にお兄ちゃんが靴下に何か入れてるのが見えちゃった……プレゼントを知りたいってわけじゃないけど、この部屋はサンタ来ない仕様なんだよ!!)」
「すー、すー」
「(恐ろしく寝つきがいい!! お兄ちゃんとこんな至近距離で寝られるなんて天国のようだけど、精神状態はまさしく地獄だよ! サンタもトナカイも服や鼻の色とは違って真っ青だよ!)」
「すー、すー」
「(……でも安心してね、お兄ちゃん。このキュートなミニスカサンタが、お兄ちゃんの願いを叶えてあげるよ! お題の人に完全に頼り切るつもりだけど!)」
ヒトミは静かに起き上り、靴下の中身を確認した。
「……」
『うるさくない妹がほしい。無理なようなら、妹を持っていってください』
「……もう、お兄ちゃんったらツンデレなんだから。そういうことだよね。お題の人、大きめの靴下くれませんか?」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「ふわぁあ……あれ、ヒトミがいない。もしかして願いが叶ったのか?」
ユウジが靴下を見て絶句した。
そこには異様な大きさの靴下があって、何かが入っている。
「もしや、望み通りに……」
ゴクリ。
ユウジが靴下をめくると、そこにいたのはミニスカサンタだった。
「お兄ちゃん、私をあ・げ・る」
「……」
キュッ!
「え、お兄ちゃん!? なんで縛ってるの!?」
「もっかい寝よ……」
「お兄ちゃん? これじゃあ出られないんだけど…………お兄ちゃあああああああんッッ!!!!」




