表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
84/102

『クローズド・サークルの部屋』

 クローズド・サークル:隔絶された空間。ミステリーの定番で、必ず事件がおこる。

 


「お兄ちゃん、私達……この部屋に閉じ込められちゃったみたい!」


「元から閉じ込められてるようなもんだろ」


「……もー、つまんないなぁ。ここは『事件ですね』とか言って立ち上がり、周囲を見渡しながら『クローズド・サークルか……』って呟いてくれなきゃ!」


「拒否する。大体、なんだよそのセリフとキャラ。明らかにそいつがいたせいでクローズド・サークルになるパターンじゃないか」


「推理ものとかミステリーの主人公って、どうしてあんな貧乏神なんだろうね。犯人よりも先にそいつを逮捕すべきだよ」


「歩けば事件、話せば供述、生まれながらの探偵にだけはなりたくないな。サイコな性格になりそうだ」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「しかしクローズド・サークルか」


「あれだよね、嵐の孤島とか、隔絶された村とか、吹雪の山荘とか、石の並べられた平原とか」


「最後のはミステリーサークルな」


「でもさ、どうしてミステリーによく登場するのかな? 別に閉じ込められなくてもいい気がするんだけど」


「閉じ込められるってことはつまり、そこで事件が起きれば犯人が必ず同様に閉じ込められていることになるんだ。誰も脱出できないってことはつまり、そういうことだろ?」


「あ、そっか。犯人が限定できるんだね」


「そうなる。そしてそれに伴って人の心理状態も抑圧されてくるんだ。疑心暗鬼を生んでしまうのがクローズド・サークルならではの展開になる」


「疑心暗鬼になって、犯人が増えるケースってことだね」


「まあな。現実にそうなった場合に備えて、閉じ込められそうな場所には旅行に行かないことをお勧めしておこう」


「それも必要だけど、周りにホームズとワトソン君がいないことも重要だよね!」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「うーん、クローズド・サークルの定番と意味は分かったけど、代表作ってどんなものがあるのかな?」


「クリスティの作品だろうな」


「あー、あれだね。うん、あれだあれだ」


「本当に分かってるのか? まあ、この作品もかなりのクローズド・サークルだけどな」


「作品って、最近になって更に二次元の存在であることを認め始めてる気がする」


「例えここで事件が起きても、どちらかが犯人であることは確かだけどな」


「わからないよ? お題の人の犯行かもしれないもん」


「お題の人っていうより、お前の犯行である可能性の方が高い気がする」


「……」


「ん、突っ込まないのか? ヒトミ?」


「ま、少しずつボロが出てもおかしくないもんね」


「は?」


「お兄ちゃん、この世界には知っちゃいけない秘密があるんだよ」


「何言って――」


「今はまだ、駄目なんだよね」


「ヒト――」


「おやすみ、お兄ちゃん」




 グサァッッ!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ