『無人島の部屋』
無人島:無人の島。
「お兄ちゃん、今回は無人島の部屋だよ」
「またあれだろ? 世界一周みたいにシュミレーションするやつだろ?」
「さすがお兄ちゃん! その通りだよ!」
「誰だってわかるだろ、こんなの」
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「早速質問なんだけど、お兄ちゃんが無人島に取り残されるとして、一つだけ持っていくものを挙げるとしたら何を挙げる?」
「……ありきたりな質問だな。お前はどうなんだ?」
「私? 私はやっぱり、お兄ちゃんの一択だよ!」
「……」
「……どったの、お兄ちゃん」
「いや、お前がこの質問に隠された唯一の正解に辿り着いたことに驚いていたんだ。まあ、偶然だろうけどな」
「正解? この質問に正解があるの?」
「正しくは、誰かもう一人連れていくことだ。協力者が一人いるだけで生存確率が増すんだよ。人間は一人ですべてこなせるわけじゃないからな」
「おぉ……お兄ちゃんが真面目に人を語ってる。あの腐りきったお兄ちゃんから、こんな言葉が聞けるなんて。およよ」
「それにもう一人いれば、保存食にもなる」
「グール!? それはマズいよ! いや、味じゃなくて人道的にマズいよ!」
「無人島に取り残されるんだぞ? いつ食人衝動が起きても変じゃない」
「た、確かに気がおかしくなるかもしれないけど」
「冗談だけどな」
「……」
「人が人を食うなんて、いつの時代の話だよ」
「出来れば、いつの時代にもあってほしくないよ」
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「でも無人島となると、怖いのは無人ってことだよな」
「どういうこと?」
「無人島ってことは人がいない島ってことだ。つまり、獣がいないとは言ってない」
「確かに……」
「人が住んでいない島だからな、もしかしたら未知の生物が潜んでいるかもしれないぞ」
「未知の生物って、それはさすがにないよ」
「考えたことないのか? 人がいないってことは外敵がいないってことになる。そこで生物が突然変異を起こしていたとすれば、無人島に取り残された場合、実験動物にされる可能性が極めて高い!」
「……お兄ちゃんの想像力が無駄にたくましすぎるよ」
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「でもさ、無人島って誰が決めるんだろうね?」
「どういう意味だ?」
「だってほら、人がいないってことをどうやって認識して、無人島に指定するのかな?」
「そりゃあ、住民票が無ければ無人島になるだろ」
「でも、隠れている人がいるかもしれないよ? 私達の知らない民族の人とか」
「その可能性はないんじゃないか? 人が住むとなれば畑とかがあるだろうし、今の時代は衛星写真もあるから判断しやすいだろ」
「そ、それもそっか」
「いや、待てよ? 無人島に取り残されるってことは人が一人いるってことになる。これだと、無人島に取り残されるというより、取り残されて有人島となった島で生活する必要が出てくるんじゃないか!?」
「細かい! お兄ちゃん細かすぎるよ!!」




