『金髪の部屋』
金髪:ブロンドヘアー。地毛だと綺麗。
「へぇい! 今日は金髪の部屋だから金髪妹キャラだよ! お兄ちゃん!」
「どうせウィッグだろ?」
「ま、そうなんだけどね。どうどう? 新鮮じゃない? 私はさっき鏡を見て別人に見えたんだけど」
「まあ、髪の色が変わると印象も変わるよな。特に染めた金髪だと……」
「うんうん」
「俄然チャラい」
「出た! お兄ちゃんの十八番! 偏見!!」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「今の言い方だとさ、地毛ならいいってこと?」
「ああ。地毛の金髪は綺麗だからな」
「あ、それなんとなくわかる。外国の美少女は憧れちゃうよね!」
「いや、二次元の話だ」
「そっち!? 二次元だと、大体が説明不要で金髪のケースだと思うんだけど」
「確かにな。現実で見かけるとドン引きするようなカラーリングでも、二次元の中では神聖化されていて、引くどころか食い入るようになる場合が多いな」
「水色とか緑色とか、オレンジに赤に桃色に銀髪……数えようとすると指が足りないね」
「しかし一つ問題がある」
「なに?」
「例え二次元でも、途中から髪の色が変わると違和感しかない」
「あー、そうかも。苛められている主人公が黒から金髪に変わったら、完全に闇堕ちだよ!! なんかキャラクターの設定とか境遇も変わりそうだね」
「やはり、人間は第一印象で人を判断してしまう生き物のようだ。憎いかな、お前の金髪を見た瞬間に、不良と化した妹を受け付けることができなかった。ごめんよ」
「お兄ちゃん、金髪だから不良って古いよ。ファッションの一部……いや、それよりも、お兄ちゃんは私の事一度も受け付けたことないじゃん!! この際だから受け付けて――」
「間に合ってます」
「なにで間に合ってるの!?」
「二次元の嫁だ」
「……お兄ちゃんが、どんどん遠くなっていく」
「引くな、冗談だ。何気にその視線、髪を染めて学校に登校した時のクラスメイトの視線よりもキツいぞ」
「経験あるの?」
「あるわけないだろ。髪を染めるなんて時間と金の無駄だ」
「でも、いずれ白髪が増えちゃうんだよ?」
「俺はロマンスグレーに憧れてるから、大歓迎だな」
「そういえばお兄ちゃん、昔から若白髪あるもんね」
「数本だけどな」
「いや、大量に若白髪ある人見たことないよ」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「だいぶ離れちゃったけど、やっぱり金髪とか髪の色が変わると印象も違うよね」
「例えば?」
「そうだなぁ、本屋さんの店員さんなら黒髪ってイメージあるよね。あと医者とか弁護士とか。あと黒から金になって強くなる宇宙人とか」
「本屋さんの店員はよくわからないけど、医者とか弁護士は収入に直結するからな。白と黒の配色がやけに目立つような髪だと医者は苦労するだろうな。……最後のはあえて触れないでおこう」
「でもそっか。日本だと黒髪が普通だから金髪とかは浮いちゃうけど、海外は金髪じゃない方が浮いちゃうんだね」
「成程、日本では黒い髪の方が誠実さが伝わるから仕事の関係上は髪の色を黒に固定しなきゃいけないが、海外だと金髪の方が誠実なのか? あっちだとそれが地毛だろうし」
「そう考えてみると、なんか深いね」
「毛根が?」
「全然うまくないよ。それに、無理やりオチを付けようとしてるのバレバレだよ」
「染めてる事がばれるのと似てるな」
「似てないと思うよ、確実に」




