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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
77/102

『美少女ゲームの部屋―告白編②―』

 


「お、おにいちゃんが動物に?」


「実は俺、魔法の国の妖精だったんだ。ゲームをクリアしないと現実世界に戻れない、みたいな冒険活劇物語じゃないけど、ゲームをクリアしないと俺が元の世界に帰れないんだよ」


「そ、そうなの?」


「だから、この契約書にサインして魔法少女になってくれないか?」


「どういうこと?」


「魔法少女になって、後輩の駒鳥亜里沙との恋を成就させてほしいんだ。幼馴染ヒトミの出現によって揺れ動く主人公を、救ってあげてほしい」


「……わかったよ。だって恋愛にも、魔法や奇跡はあるんだから」


「――とまあ、こんな感じだな」


「急な淡泊だね。あ、本編には魔法も奇跡もありません」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「ヒトミが来たことで、何故か主人公が揺れ始めたな」


「そりゃそうだよ、私の登場だもん」


「同姓同名、異性格だ」


「なんかカッコいいね」


「よくない」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『ユウジ:ヒトミ、好きって……どういうことなんだ?』


『ヒトミ:言葉通りの意味だよ。私、ずっとユウジくんの事が好きなの』


『ユウジ:そんな……』


『ヒトミ:最近、後輩の亜里沙ちゃんに構ってばかりだから、もしかしたらって思って。告白する前に、私が告白したかったの』



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「さすがお前の分身、理論が破綻してるぞ」


「頑張れヒトミ! 後輩ツインテールという、お兄ちゃんの抜群ストライクなキャラに負けちゃ駄目だよ!」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『ユウジ:ご、ごめん。僕、その……』


『ヒトミ:……謝るのはこっちだよ。ごめん、無理言って』


『ユウジ:ヒトミ……』


『ヒトミ:初恋、なんだよね』


『ユウジ:うん……』


『ヒトミ:頑張って』


 ヒトミが涙を溜めながら、笑顔で声援を送ってくるCGと共に、BGMが流れてくる。

 ヒトミの歌う、ゆったりとした曲調の温かい歌だ。


『ヒトミ:応援、して……っ、応援してるからね!!』


『ユウジ:――! ありがとう!』


『ヒトミ:うんっ……』



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「なんか、ちょっとだけじわっときそうだな。音楽といいイラストといい」


「びどみ~~~~」


「隣では号泣してるけど……いよいよ告白か」


「鬼! 悪魔! 最初はヒトミのこと意識してたくせに!! この、たらし!!」


「……」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『ユウジ:駒鳥さん……』


『亜里沙:は、はい……』


『ユウジ:好きです。僕と、お付き合いしてください!』


『亜里沙:……わ、私でいいんですか?』


『ユウジ:キミがいいんだ。キミじゃなきゃ、駄目なんだ』


『亜里沙:……! えっとその、よ、喜んでお受けします』


『ユウジ:ほんとっ!?』


『亜里沙:はい……よろしくお願いします、先輩』



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「おぉ……やった。やったぞ」


「ちっ」


「舌打ちするな。ほら、カップル成立だ」


「……お兄ちゃん、なんかうれしそうだね」


「そりゃあそうだ。これでようやく、この部屋が終われるんだからな」


「……何言ってるの? まだ続くよ」


「え?」


「恋愛ゲームは、付き合ってからが本番なんだから。イチャラブにシリアス、そして感動のエンディングってパターンが王道なんだよ?」


「本気か?」


「マジだよ」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『ユウジ:亜里沙って、呼んでもいいかな?』


『亜里沙:もちろんです。ユウジさん……は、恥ずかしいですね』


 二人が赤面し、その後ろで拍手をしているヒトミが映ったCGが映し出された。



 〇〇〇〇〇〇〇〇



 そんな二人の頭上から手紙が降ってくる。


「ん? あれ、お題の人から手紙が降ってきたよ」


「今度はなんだ」


「……」


「ヒトミ?」


「このお題、長すぎるから告白成功でクリアとみなすって……」


「嘘だろ? 亜里沙とまだラブいこと一つもしてないぞ」


「ラブいって……。確かに、これからデート編、破局編、再会編、未来編と続くらしいけど」


「破局編って、そんなストーリーあるのか?!」


「とりあえず、そういうことみたいだから、本日は撤収だって。反響が大きかったら再開するかもしれないよ」



「ふざけんな!! 亜里沙のぬいぐるみの秘密もそうだが、何より、一度しか名前で呼んでもらってないぞ!!」



「また次の部屋で会いましょう。ではでは~~」


「勝手に終わるな。あ、おい――!」






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