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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
73/102

『美少女ゲームの部屋―初恋編②―』

 


「美少女ゲームでヒロインを攻略しないと終わらない部屋。

 そこで私とお兄ちゃんは、大人気美少女ゲーム『初恋はじめました。リメイク版(略して、はつはじ)』をプレイすることになって、主人公をユウジ。幼馴染のヒロインをヒトミって名前にしたんだよね」


「そうだな。それで後輩の駒鳥亜里沙、先輩の望月雫との出会いを果たし、ようやく恋が始まろうというわけだ」


「お兄ちゃんは後輩の亜里沙ちゃんと仲良くしたいんだけど、全方向から刺客が現れて、なかなか意中の相手の好感度が上がらないの。そして迫りくる『もえぎタイム』」


「その続きとなる」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『ユウジ:もうすぐ定期試験だ……勉強しないと』



「ついにゲームの中でも勉強シーンがやって来たね」


「授業風景は一切ないのに、唐突だったな。ん? 選択肢が来た」



 誰を勉強相手に誘う?

 ○ヒトミと一緒に気兼ねなく勉強しよう。

 ○駒鳥さんに教えてあげながら、自分も勉強しよう。

 ○望月さんにしっかりと教えてもらおう。

 ○妹とイチャイチャしながら朝まで勉強だぜ。



「これは迷わず四番目だね」


「迷わず二番だ」


「ええー。もう亜里沙ちゃんは諦めようよ。この際だから、もえぎちゃんでもいいよ? ってか、もえぎちゃんがいい! 妹だし、絡みが多いせいかダントツで落としたい!」


「お前も、はつはじの戦略に落とし込まれてるみたいだな」



 ○駒鳥さんに教えてあげながら、自分も勉強しよう。



『そうだな、最近、駒鳥さんと話せないし……うん、これをキッカケに話せるようになりたい。よし、連絡してみよう……あっ、連絡先知らないんだった。どうしよう』



「こいつはアホか。関係ない会話ばかりしてるから、まだ発展すらしてないんだぞ」


「せ、選択肢を選んでるのは、お兄ちゃんだよ?」


「……お、ユウジは一年の教室に向かうみたいだな。中々に見どころのある行動力だ」


「お兄ちゃん……」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『ユウジ:あ、あの、駒鳥さんいるかな?』


『生徒B:はい。駒鳥さんならあちらに、お呼びしましょうか?』


『ユウジ:お願いできる?』


『生徒B:大丈夫ですよ? 少々お待ちください』


 なんか、後輩とは思えない……まるで一流企業の受付嬢みたいな対応だ。


『亜里沙:え、えっと、お待たせしました』


『ユウジ:こ、駒鳥さん。ちょっと時間あるかな?』


『亜里沙:だ、大丈夫です。まだ帰る時間ではないので』


『ユウジ:そっか……中庭で話そうか』


『亜里沙:わ、わかりました』



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「なんか、割とスムーズに会話できるようになってるな」


「……」


「どうした?」


「もしかして亜里沙ちゃん、照れてる?」


「は? ここ最近、全くイベントのなかったヒロインだぞ? こないだも追いかけそびれたし」


「つ、続き見てみようよ」


「……」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



 中庭に来てみた。放課後ということもあって、生徒もまばらだ。


『ユウジ:ここでいいかな。あの、さ……実は――』


『亜里沙:申し訳ございません!』


 ビシュ!


『ユウジ:うわああ!』


 駒鳥さんのツインテールが暴れて、襲い掛かって来た。

 間一髪で避けることができたけど、危なかったぁ。


『亜里沙:あ、えっと、重ねて申し訳ありません。先輩……』


『ユウジ:だ、大丈夫だよ。それに、最初の謝罪はよくわからないんだけど』


『亜里沙:それは――ここ最近、その、先輩を避けるようにしてしまったから……』


『ユウジ:あ、そういえば――』


『亜里沙:先輩とアニメの話をするようになって、初めてそう言うお友達が出来て嬉しかったんです』


『亜里沙:でも、先輩の趣味とわたしの趣味が若干違ったので、先輩が仲良くしてるヒトミ先輩に、先輩の好みを聞いたんです』


『ユウジ:えぇ!?』


『亜里沙:そ、それで研究を重ねて、今なら先輩と同じ土俵に上がれます!』


『ユウジ:そ、そうだったんだ……』


 嫌われてなくて、よかったぁ。



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「本当によかった……」


「お兄ちゃん、ゲームと現実がリンクしてるよ。戻ってきて!」


「ヒトミ、俺はようやく分かったよ」


「な、なにを?」


「俺、やっぱりツインテールじゃなきゃ愛せない。駒鳥さんに、初恋を奪われてしまったみたいだ」


「んなっ――!」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『亜里沙:ふう、なんだか胸のつっかえが無くなりました』


『ユウジ:僕もだよ、嫌われてなくてよかった』


『亜里沙:先輩を嫌うなんて、ありえませんよ。だって、大切な人ですもん!』


『ユウジ:――!?』


 ドキッ!


 笑う駒鳥さんを見て、心臓が高鳴った。

 今のは、何だ?



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「この気持ち、なんだ?」


「恋だよ! 二人揃ってなにしてんの!」


「すまん。役に入り込み過ぎるタイプなんだ」


「そういう問題なの?」


「とりあえず、これで好感度は回復するだろうな。よかった」


「……なんか、こんなに生き生きとしたお兄ちゃんを見られるのは嬉しいけど、別の子に対しての高揚で……心中がとても複雑だよ」



 〇〇〇〇〇〇〇〇



『亜里沙:そういえば……これから窺おうと思っていたのに、どうして先輩が教室に?』


『ユウジ:あ、そうだ。今度の定期試験、一緒に勉強したいなって』


『亜里沙:いいんですか? 先輩に教われるなら歓迎ですけど』


『ユウジ:いいもなにも、そのつもりだよ!』


『亜里沙:先輩……! い、いや、先生! お願いします!』


『ユウジ:任されよう! ははっ』


『亜里沙:えへへっ』


 こうして僕は、後輩の駒鳥さんと試験勉強をすることになった。


『亜里沙:あ、アドレス交換しておきましょう?』


 駒鳥さんのアドレスを手に入れた。



 〇〇〇〇〇〇〇〇



「着実と進んでる……」


「出来る、これなら駒鳥さんを彼女に出来るぞ!」


「……次回もお楽しみに」



 現在の好感度。

 ヒトミ……レベル10。

 亜里沙……レベル20。

  雫 ……レベル13。

 もえぎ……レベル45。



 ドキドキ編へ続く。





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