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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
67/102

『偏見の部屋』

 偏見:偏った意見。考え方。


「思うんだが、偏見を抱く人は頭が固いよな。視野が狭いというか、可能性を考慮しないというか」


「これまで散々の偏見と独善を振りまいてきたよね、お兄ちゃん」


「というわけで、今回は偏見の部屋みたいだな」


「都合の悪いことは無視する。これはきっと偏見じゃないよね。万人に通用すると思うよ」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「しかしなぁ、いきなり偏見について語れと言われてもなぁ」


「お兄ちゃんには適役だと思うけど」


「そんなまさか。もっと大物コメンテーターとかに語ってもらった方が――」


「大物コメンテーターが偏見について語れるって時点で、大体は偏見だよね。それに、この作品には基本的に私達しか登場しないし、無理だよ。オファーする予算すらきっとないと思うよ」


「大物だからな。ギャラも高いということか」


「偏見のオンパレードだね」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「ふと思うことがあるんだが、晴れの日に外出するってのは偏見だよな」


「それが健全ってものなんだよ、お兄ちゃん。そんなことを考える時点で、インドア派によるインドア派のための偏見になっちゃってるよ」


「そのインドア派って言葉、差別じゃないのか?」


「そ、そう言われると……別に家にいるのが好きっていえばいいもんね」


「まあ、言われても苦じゃないけどな」


「どっちなのさ!」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「とりあえず、妹のいない連中にだけは言いたいことがある」


「突然どうしたの? 随分と真剣な表情だね」


「そりゃあそうだ。妹のいない連中は、妹に対する妄想を抱きすぎる! つまり、偏見の度が過ぎてるんだよ! 兄を好きになる妹なんて、自然と出てくるもんか!」


「……首、絞めてない?」


「絞めてるとすれば、お題の人の首を絞めてることになるな。――はっ、もしやこれがキッカケで俺は、取り返しのつかないことを?」


「だ、大丈夫! 首は絞めていたとしても間接的だよ! 物理的にはしてない! これは表現の問題だから!」


「それもそうだな。第一、俺達はお題の人に会ったこともない」


「そもそも、いるのかどうかも不明だよね」


「お題の人って、何食べてるんだろうな?」


「なんか、つまらなそうな人だと思わない? お題だってありきたりなものが多いし、展開だってなんとなく、ありきたりな風に収まると思うはずでしょ?」


「確かにな」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「……あれ? 手紙だ」


「また空から落ちてきたぞ。天井から降ってきてるのか?」


「……」


「どうした?」


 ヒトミは手紙を見て固まっている。


「お兄ちゃん、お題の人が怒ってるよ」


「え?」


 ユウジが手紙を見ると、そこにはこう書いてあった。


『人を傷つける偏見は、慎むように』


「「…………(お怒りでいらっしゃる)」」


「お兄ちゃん、とりあえず謝っておこう! 口にしてきた偏見をここで一旦謝っておこう! 取り返しのつかないことになる前にそうしよう!」


「そうだな。すぅ……」


「「どうも、すみませんっしたあああ!!!」」



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