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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
66/102

『恐怖症の部屋』

 恐怖症:何かを恐れること。トラウマが原因であることが多い。


「色々な恐怖症があるけど、俺は目覚まし時計恐怖症を提唱する」


「な、なにそれ」


「平日は目覚まし時計で朝早く起きているが、休日にも目覚まし時計をかけてしまった時、慌てて止めてから起き上がるも休日だと気付いて損をする。そんな経験はないか?」


「ごめんね、お兄ちゃん。全くないよ」


「そうだろう?」


「ないんだよ!?」


「つまり、朝早く起きて仕事や学校に遅刻しないように行かなければならない、電車に間に合わない、朝練に遅れる、などの観念にとらわれ、目覚まし時計が怖くなる。それが目覚まし時計恐怖症だ」


「それって単なる条件反射なんじゃ……」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「め、目覚まし時計の件は置いておくとして、恐怖症って色々あるよね」


「そうだな。大体の恐怖症はトラウマが原因になるみたいだ」


「高所恐怖症だったら、昔高い所から下りれなくなったとか……男性恐怖症とかは男子にいじめられたり……考えるだけで恐怖症の理由は多くありそうだね」


「恐怖症はいわゆる心の防衛手段のようなものなのか?」


「自然と避けるように行動するようになるみたいだけど、自分がどんな恐怖症なのかって、その場に遭遇しないと気付かないものなのかな?」


「どうだろうな。知らないうちに恐怖症になっていても、無意識に避けてるものってありそうだろ」


「確かに。でもまぁ、私はお兄ちゃん恐怖症で無いことは確かだね。むしろ大好き症だよ」


「……俺は若干の妹恐怖症かもな」


「え?」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「とまあ、恐怖症にも過度なものから軽度なものまで様々みたいだ」


「症状も色々みたいだね。それに、色んな恐怖症があるみたい」


「……やっぱり、目覚まし時計恐怖症もあるんじゃないか?」


「ないとは思えなくなってきたね……でも、目覚まし時計が怖くなるってことなのかな?」


「一種の義務感だろうな」


「なんか、職業病に分類されそうだね」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「ともかく、なんやかんやで私達って色んな会話してるけど、特に何もないよね」


「急にどうしたんだ?」


「ほら、なんか色々とトラウマになりそうな部屋とかあった気がするけど、いつの間にか忘れてるような気がしない?」


「確かにそうだな……あれ? 深く考えてみると、こうして生きてる事も不思議になってくる。なんだ、この感じ……」


「きっとあれかな? あまりの恐怖とトラウマで記憶に鍵をかけちゃったのかな?」


「まさか。そんな出来事、あったはず……あれ?」


「あーあ。今日はここまでかな」


「何言って――」


「お兄ちゃん、また次の部屋で会おうね。約束だよ?」


 え―――――――――。




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