『上下関係の部屋』
上下関係:上と下の関係。見えない力が働いている。
「上下関係だって。体育会系の理論だね」
「そういえば、お前は部活に入ってないのか?」
「入るわけないじゃん! 早く帰ってお兄ちゃんとラブラブしないといけないし!」
「……部活に入っておけばよかったのか」
「お兄ちゃん、それどういう意味?」
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「ふと思ったんだが、上下関係ってどこから発生するんだろうな?」
「どこからって、年齢でしょ? あとは経験とか」
「待て。年齢から発生した上下関係なら、一歳差でも生じるってのか?」
「……そ、そうなるね」
「はぁ。だから嫌なんだよ。俺はたかだか一学年の差……一年早く生まれただけの連中に先輩面されるのが嫌で、部活に入らなかったんだ」
「驚愕の事実だよ……確かに、一歳しか離れてないのに命令されるのは嫌だよね」
「思いやりの欠片もない奴は特にな」
「あ、それって外から見た体育会系あるあるだね。他には練習がキツイ上に謎の炎天下での水分補給なしとか。あれ身体に悪いよね、絶対」
「自分が一年の時にやられたことを、まんま仕返すだけ。これを繰り返していれば、人類は倍返しの精神に汚染されそうだな」
「やられたらやり返す。ハンムラビ法典スパイラルだね」
「よく知ってるな」
「世界史で習ったもん。目には目を歯に歯を。義妹には本妹をってね」
「最後のは改竄してるだろ」
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「でもさぁ、体育会系って外から見てると辛そうだよね。上下関係もそうだけど、練習とかも面倒だよね」
「まあ、そう考えてる奴は絶対に入部しないだろうけどな。……しかし入ってしまえば最期、体育会脳の改造されるんだ」
「た、体育会脳……」
「暑苦しい伝統を重んじた、くそくだらないルールに従うようになってしまうんだよ」
「腐ってるよ、お兄ちゃん。でも、腐ってる方がおいしい食べ物もあるように、私はお兄ちゃん一筋を貫くよ!」
「それもどこか体育会脳だよな」
「もはや、体育会脳って悪口だよね」
「そうだ」
「認めた!?」
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「話を戻すと、確かに実力の差で上下関係が築かれることには疑問を持たないわけだが、年齢となると、一体どれくらい離れてから関係が発生するのかということだ」
「そうだなぁ、五歳とか?」
「例えるなら、小学一年生と六年生か。どっちも小学生に変わりないな」
「それ、例えが悪いよ。お兄ちゃんは、どう思うの?」
「俺だったら、歳の差が二十離れてからようやく生まれると思う」
「それは実際に役職の関係になってきそうだね」
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「あ、そうだ。さっき言ってたけど、お兄ちゃんってどんな部活に入ろうとしたの?」
「そんなの聞いてどうなる」
「ど、どうにもならないけど、気になるから(謎の生命体過ぎるお兄ちゃんの趣味嗜好を知るチャンスだもんね)」
「俺が入ろうとしたのは文芸部だ」
「そこ、絶対に上下関係ないと思うよ」




