『混浴の部屋』
混浴:男女が同じ浴場で入浴すること。
「どうしてこうなった……」
「気付いたら混浴してたね」
「服を脱いだ記憶もないんだが……それよりも、部屋の中に温泉が設置されてる事態に驚きを隠せないな」
「さすが、お題の人は何でもできるんだね」
「『何でも』の域を越えてるだろ、これは」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「お兄ちゃん、興奮してきた?」
「何言ってんだ、お前は」
「だって、よくあるバラエティ番組のタオルを巻いてるわけでもなく、かといって湯気で隠れるわけでもない世界だよ。実は私、全裸ってことになるよ!」
「ふうん」
「三文字!? 感想三文字!?」
「湯加減はいいな」
「湯加減に関する感想の方が長い……こうなったら!」
ザパアン!
「どうしたんだ? 急に立ち上がったりして」
「ふふん。お兄ちゃんに私の全部を見てもらって――」
「妙な光が、重要な場所を守ってるから安心しろ」
「こ、光線で来たか!」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「落ち着いたか?」
「うん……今考えると、お兄ちゃんに裸見せるなんて恥ずかしすぎたよ。責任、とってくれる?」
「責任は取らんが、落ち着いて何よりだ。温泉はゆっくり楽しむものだからな」
「あ、そうだ。温泉ならではのトークしない? 今回はサービス回だし」
「……温泉ならではのトークって、なんだよ」
「そうだなぁ……」
「そもそも、景色も何もないのに混浴っておかしいだろ。大体の混浴って露天風呂じゃないのか?」
「あ、それだね! ちょっと待ってて!」
バシャア!
「あいつは、やはり恥じらいを捨ててきたのだろうか」
「これをこうして……ほら、いつかの部屋みたいに天井がオープンしたよ」
「もうそのシステム、憶えてすらいなかったぞ」
「これで星を眺めながら……あ、私、もしかして全裸?」
「(ようやく気付いたのか……)アホだな」
「へ、へ、へっくしょん!」




