『風邪の部屋』
風邪:辛い。人それぞれ症状が違う。
「――というわけで、お兄ちゃんが風邪をひいてしまいました」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「なにが『――というわけ』だ。げほっ、ごほっ」
「だって今回のお題は風邪なんだよ? タイミングよくお兄ちゃんがマスクしてるんだから、最高のお題だよ!」
「俺が風邪を引いたからこのお題になったような気もするけどな」
「そうだ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「キスしたら風邪ってうつるのかな?」
「しらん。未経験だからな」
「じゃ、じゃあ私とディープでテイスティなファーストキスをかわそうよ!」
「妹とキスなんてお断りだ」
「えぇ~~。じゃあ、一分でいいから」
「何分するつもりだったんだ」
「軽く、三十分かな」
「それはディープというより、狂気の沙汰だ。殺す気か」
「えぇ~~。これくらい普通だと思うけどなぁ」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「……大体、風邪引いて嬉しいのか?」
「もちろんだよ!」
「その心は?」
「お兄ちゃんに甘えながら看病してもらえるから」
「それは無理だ」
「え?」
「俺も風邪だから」
「あ、そっか」
「――にしても、季節外れの風邪にかかるとは。結局、風邪の予防って何が効果的なんだ?」
「う~~ん。毎日お薬を飲んで免疫をつけておくとか」
「それは、逆に危険だと思うぞ」
「そっか」
「小学校とかだと、手洗いうがいをしっかりしましょうとか言われたな」
「手を洗うのは分かるけど、うがいはどうしてするの?」
「さあ、歯周病のケアじゃないのか?」
「お兄ちゃん、私が知らないからって適当なこと言ってるでしょ」
「そういえば、風邪は万病の元とも聞くよな」
「あ、逸らした!」
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「とにかく、気をつけておけよ。風邪は流行りだすと一気に広まるから、ちゃんと予防しておかないと、お前も風邪を引くことになるぞ」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん」
「やけに自信満々だな」
「もちろん」
「あ、そうか。なんたらは風邪を引かないのか」
「……ふふん。バカはバカでもお兄ちゃんバカですが、なにか?」
「うん、お前はバカだ」