『ラノベ作家の部屋』
ラノベ作家:ライトノベル作家の略。売れ行きはイラストレーターに左右されやすい。
「お兄ちゃぁん」
「どうした」
「最近ね、ライトノベルを読むようになったんだけどさ、こういう作品の作者ってどうして最終巻を渋るのかな?」
「触れてやるな」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「まあ確かに、終わらない作品ほど駄作はないよな」
「お兄ちゃん、それはまずいよ。敵を作り過ぎだよ。全勢力に滅ぼされるよ」
「そうか?」
「そうだよ! 大体の子供向け作品は不滅系じゃん!」
「……まずいな。連中を敵に回すのは、俺達じゃ不可能だ」
「私達、結局の所は生まれたばかりみたいだもんね」
「――そんなことより! ラノベの最終巻だよ! どうして書いてくれないの!?」
「いいか? 最終巻に辿り着かないライトノベルの特徴は、アニメ化してるってことだ」
「そ、それは偏見のような」
「まあ聞いておけ。彼らは、作品を進めるにあたってアニメ化という一種の誘惑に負けてしまう。誘惑に負けた結果、小説を元々読んでいたファンよりも、アニメから入ってきた新参のファンが増えてしまうわけだ」
「ふむふむ」
「そこで、ラノベ作家はプレッシャーに負ける。完」
「え、終わるの!?」
「その感想は正しいな。妙な終わり方をする作品は多い。大体の作者は着地点を見つけずに、タイトルだけ面白おかしく作ってみて、キャラクターの関係性を複雑化し、やめるにやめられなくなってくる」
「いや、今のはお兄ちゃんの理論に対する感想なんだけど」
「大体、一つのネタでどれだけ伸ばす気なんだよ。
ラブコメのくせにヒロインばかり増やしてんじゃねえよ。そして結局の所、最終的に正式なヒロインを選んでんじゃねえよ。
読み通りの展開と、中途半端な不必要エロシーンを盛り込んでくんじゃねえよ。ライトノベルって時点で王道じゃねえんだから、最終回にこだわってんじゃねえよ。
作者の癖に出しゃばってんじゃねえよ。ラジオに出てる暇あったら最終回書けよ。一つの話を書いただけで満足してんじゃねえよ。新しいの書けよ、金もらってるプロなんだろ!?」
「お、お兄ちゃんが……取り返しのつかない腐りきったモードに移行してしまってる。え、えっと、これはあくまでも、お兄ちゃん個人の意見なので、真に受けない様にしましょう。フィクションですから!」
「勝手に閉めんな。まだ俺は腐り足りな――」
「ま、また明日!」




