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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
2LDK(51~100)
53/102

『ワル自慢の部屋』

 ワル自慢:ひたすらに武勇伝を語り、悪さをアピールすること。


「お兄ちゃん、ダークなエピソード持ってる?」


「俺がそんなキャラに見えるか? 一度も踏み外してないし、そんな勇気すらない」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「でもさ、そういう風に見えないくせに、自分の悪事を自慢する人ってよくいるよね。特に学生時代は多いと思うよ」


「学生時代って、俺達もまだ学生だろ」


「そうだけどさ、なんか、中学の時はワルだったとか自慢げに話してる人とかいるでしょ」


「ああ、確かにいるな。見ていて痛い奴」


「俺は怖いんだぜっていう保険だよね、完璧に」



「本当に怖い奴は自慢しないからな。ヤバい奴は更に、悪事を悪事だと思ってすらいない。

 例えば、標識を破壊して武器にする行為の場合、ワルぶって敵を減らそうとする連中は『標識あるだろ。あれ壊したことあんだぜ! あん時の俺って、めっちゃワルだったわ』って言うけど、本物の場合、『標識? 壊すためのもんじゃねえか。何言ってんだ?』ってなる」



「そ、それは極端すぎるような気がする。でも、なんとなく前者は分かるよ」


「大体、自慢げに話すなんて、罪の告白と同じだよな」



「あ、そうか。悪いことをしていたアピールで敵を減らす作戦でもあるけど、同時に罪を告白することで負荷を減らそうとしてるんだよ!」



「懺悔というわけか。それにしちゃ、あいつらの顔は悔いてるようには見えんな」


「うーん、やっぱりアピールになっちゃうのかぁ」


「まあ、アピール内容もブレブレになることが多いだろ」


「本当に怖いエピソードっていうより、一種の話のタネみたいだもんね」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「そうだ。第一、証拠がなかったら嘘のケースだって考えられる」


「なるほど」


「現代社会は生きにくいからな。少しでも敵を減らそうと躍起になるのが、大半の連中の考えだ」


「敵を作りたいって思う人は少数派だよね」


「お前はどうなんだ?」


「私? 私はもちろん、お兄ちゃんの為なら全人類だって敵に回すよ!」


「なんか、ヒーローみたいな台詞だけど、紐解くとダークヒーロー感があるな」


「一人の為に世界を敵に回す。一人と世界、どちらを救うのか。選択肢を迫られると、人間ってどっちを選ぶんだろうね」


「とりあえず自分だろ」


「さっすが、ブレないね」


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