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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
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『応援歌の部屋』

 応援歌:応援する歌のこと。大体が全方位的である。


「応援歌ってさ、かなり全方向的な愛情だよね」


「そうか?」


「全般的にってわけじゃないけど、歌手が歌う応援歌と家族が歌う応援歌なら、効力は家族が歌う応援歌にありそうじゃない?」


「それは、なんとなくわかるな」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「そもそも、激励や応援を歌詞にする歌手は多いけど、あれって俺が思うに占いと似たようなものだと思うんだよ」


「あ、誰にでも当てはまるようになってるってこと?」


「そうだ。誰彼に当てはまるように作っている応援歌、俺はあれで応援されてる気分にはなれないな」



「応援団とかが汗を撒き散らしてたら、かなり頑張ろうって思うよね。でも、私を応援してると思ったら横にいる他人も応援してるとなると、確かに、やる気は出ないね」



「だから、人は安易に応援歌を歌うべきじゃないと思うんだ」


「でも、それだと恋の歌ばかりになりそうじゃない?」


「……それなら、特定の人を応援するような曲を作ればいいんじゃないか?」


「特定の人?」


「そうだ。例えば……受験生だけに向けた応援ソング」


「それはいいかも」



「しかし、受験に失敗すれば応援歌が皮肉になりそうだな。帰ったらまずは、CDを叩き割るか売りに持っていくだろう。そして売りに持って行けば店員に『あ、こいつ受験失敗したんじゃね?』と思われ、とても恥ずかしい気分になり、受験に落ちたショックと恥ずかしさで三日三晩寝込むかもしれん」



「……」


「あとは、バレンタインデーにチョコを渡す人を応援する歌もあるな」


「女子に人気が出そうだね。もちろん、タイトルにはチョコレイトの文字があるんでしょ?」



「まあな。しかし、本命にあげる女子は壊滅的な現状、友チョコの歌となる。よって応援してるけど友達にあげる行為は所詮、自分のお菓子が余ってたからあげる感覚と同等で、それほどの緊張感を覚えないため、バレンタインの女子を応援した歌なのに、応援される側には迷惑なだけだ」



「……」


「他に例を絞るとしたら、マラソン大会に向けた練習をする人たちに向けた――」


「お、これはよさそう」


「バラードだ」


「練習中に聞けないと、きっと需要ないよね」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「こう考えると、応援は奥が深いな」


「奥が深いというより、お兄ちゃんに応援する気が無いような――でも安心して。私はいつだって、お兄ちゃん専属のチアガールだよ!」


「ふうん」


「反応うすっ!」


「妹よ、一つ教えてやる」


「え?」


「応援されたくないのに応援される程、迷惑なことはないんだぞ」


「……そ、そうだね。やめるにやめられないもんね」



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