『爆弾処理の部屋』
爆弾処理:爆弾を処理すること。
目の前に箱ティッシュがあった。
「なんだこれ。今日のお題はティッシュか?」
「あぁ! 持ち上げちゃ駄目だよ!!」
「うおっ! ビックリしたぁ」
「お兄ちゃん、それ爆弾だよ」
「はあぁっ!? なんでこんな物騒なものがここに!! 早く逃げるぞ!」
「駄目だよ! この爆弾を解除しない限り、あの扉は開かない仕組みになってるもん」
「……なんで扉がいつになく頑丈に作られてんだよ」
「ふっふっふ、それはここが爆弾処理の部屋だからだよ!」
ビビビィィィィイイ!!
「「――!?」」
『爆破まで、あと十分です。解体してください』
「おい、箱ティッシュが喋ったぞ。最近流行のAIか?」
「どうやら、本物の爆弾みたいだね。解体しよう」
「なんでそんなプロみたいな自信なんだよ。……確かに映画や漫画でよくあるワンシーンだけどな、素人が爆弾の処理なんて出来るはずないだろ」
「大丈夫だよ~。どうせコードが二本あって、赤と白のどちらかを切る、みたいな運任せのやつでしょ? それなら余裕、主人公の私達なら持ってるって」
「意味不明な自信だな……しかし、タイマーが進んでる。解体、するしかないのか」
「よし、とりあえずティッシュを使ってみよう!」
ハシュッ!
ビビビイイイイイイ!!
「おい」
「ありゃ?」
『ティッシュが使用されました。タイマーが五分進みます。鼻をかんでいないで爆弾から逃げるか、もしくは天に祈るか、それとも解体するのか、選ぶことを推奨します』
「おいいいいいい! 残り五分になったぞ!」
「おお! いつもは冷静なお兄ちゃんも、今日ばかりはホットだね!」
「ホットでもポットでもいい。まだ死にたくないだけだ!」
「よし、ベッドメイクは万端だよ!」
「天に祈る前に、解体に力入れろよ」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「これは?」
「お題の人が置いておいてくれたんだよ。だだだだん。工具箱~~」
「……なんでそんなに明るいんだよ」
「こういう状況で暗くなっても仕方ないよ。それじゃあ、開けてみよっか。えぇっと、工具が中に用意されてるから、これで爆弾解体を――」
ガチャ。どっちゃり。
「……うん。これでいいね」
「おい、工具箱があまりにも混雑してるからって、運任せにドライバーを選ぶな」
「だってぇ……でもさ、なんかいけそうな気がするよ」
ビビィィイイイ!!
『残り三分です。解体を速めるか、天に祈りましょう。私は天に祈りますが、解体しなかったあなた方を呪います』
「なんか、搭載されてるAIが怖いね、お兄ちゃん」
「AIなら、自分で爆弾を処理してほしいが……ああもう、やってみるか」
「おー」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「まずは、ここを開けるのかな?」
「慎重にな」
ヒトミが箱ティッシュを開くと、中にはタイマーと爆弾のような物が入っていた。
「……」
「……」
そして、コードは二本ではなく、複雑に絡み合った三百本で構成されており、二人の顔から血の気が引いた。
『呪う。呪う。呪う』
「お、おおおお兄ちゃん、どうしよ!」
「とりあえず、一本切ってみるか」
「は、はい。ドライバー」
「おう……。んじゃ、これを」
バチッ。
『解体、失敗です。タイマーがゼロになりました』
ビイイイイイイイイッッッッ!!!
ドガアアアアアアアン!!!!!




