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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
47/102

『爆弾処理の部屋』

 爆弾処理:爆弾を処理すること。


 目の前に箱ティッシュがあった。


「なんだこれ。今日のお題はティッシュか?」



「あぁ! 持ち上げちゃ駄目だよ!!」



「うおっ! ビックリしたぁ」



「お兄ちゃん、それ爆弾だよ」



「はあぁっ!? なんでこんな物騒なものがここに!! 早く逃げるぞ!」


「駄目だよ! この爆弾を解除しない限り、あの扉は開かない仕組みになってるもん」


「……なんで扉がいつになく頑丈に作られてんだよ」


「ふっふっふ、それはここが爆弾処理の部屋だからだよ!」



 ビビビィィィィイイ!!



「「――!?」」


『爆破まで、あと十分です。解体してください』


「おい、箱ティッシュが喋ったぞ。最近流行のAIか?」


「どうやら、本物の爆弾みたいだね。解体しよう」


「なんでそんなプロみたいな自信なんだよ。……確かに映画や漫画でよくあるワンシーンだけどな、素人が爆弾の処理なんて出来るはずないだろ」



「大丈夫だよ~。どうせコードが二本あって、赤と白のどちらかを切る、みたいな運任せのやつでしょ? それなら余裕、主人公の私達なら持ってるって」



「意味不明な自信だな……しかし、タイマーが進んでる。解体、するしかないのか」


「よし、とりあえずティッシュを使ってみよう!」


 ハシュッ!


 ビビビイイイイイイ!!


「おい」


「ありゃ?」



『ティッシュが使用されました。タイマーが五分進みます。鼻をかんでいないで爆弾から逃げるか、もしくは天に祈るか、それとも解体するのか、選ぶことを推奨します』



「おいいいいいい! 残り五分になったぞ!」


「おお! いつもは冷静なお兄ちゃんも、今日ばかりはホットだね!」


「ホットでもポットでもいい。まだ死にたくないだけだ!」


「よし、ベッドメイクは万端だよ!」


「天に祈る前に、解体に力入れろよ」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「これは?」


「お題の人が置いておいてくれたんだよ。だだだだん。工具箱~~」


「……なんでそんなに明るいんだよ」


「こういう状況で暗くなっても仕方ないよ。それじゃあ、開けてみよっか。えぇっと、工具が中に用意されてるから、これで爆弾解体を――」



 ガチャ。どっちゃり。



「……うん。これでいいね」


「おい、工具箱があまりにも混雑してるからって、運任せにドライバーを選ぶな」


「だってぇ……でもさ、なんかいけそうな気がするよ」


 ビビィィイイイ!!


『残り三分です。解体を速めるか、天に祈りましょう。私は天に祈りますが、解体しなかったあなた方を呪います』


「なんか、搭載されてるAIが怖いね、お兄ちゃん」


「AIなら、自分で爆弾を処理してほしいが……ああもう、やってみるか」


「おー」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「まずは、ここを開けるのかな?」


「慎重にな」


 ヒトミが箱ティッシュを開くと、中にはタイマーと爆弾のような物が入っていた。


「……」

「……」


 そして、コードは二本ではなく、複雑に絡み合った三百本で構成されており、二人の顔から血の気が引いた。


『呪う。呪う。呪う』


「お、おおおお兄ちゃん、どうしよ!」


「とりあえず、一本切ってみるか」


「は、はい。ドライバー」


「おう……。んじゃ、これを」


 バチッ。


『解体、失敗です。タイマーがゼロになりました』


 ビイイイイイイイイッッッッ!!!


 ドガアアアアアアアン!!!!!



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