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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
43/102

『迷惑メールの部屋』

 迷惑メール:迷惑なメールのこと。まれに必要なメールも振り分けられる。


「あぁ、また来てる」


「どうした?」


 ヒトミはユウジに携帯を見せる。


「迷惑メールか」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「うん。迷惑メールって開かないけど、来るだけで嫌だよね」


「自動で振り分けてるのか?」


「そうだよ?」


「……思ったんだが、迷惑メールってどこから迷惑になるんだ?」


「え?」



「だってそうだろ。迷惑メールとして振り分けられるってことは、幾分迷惑じゃないと駄目なはずだ。そもそも、その迷惑基準がわからないんだが」



「私の場合は、アドレス帳に無いと、すぐに迷惑メール行きだよ? あとはどうだろ。開かないで削除しちゃうからなぁ」


「大体そうだろ。……実験してみるか」


「実験? 何をするの?」



「今からメールを送るから、どの程度の迷惑なら振り分けられるのか試してみる」



「でも、お兄ちゃんからのメールならお気に入りに振り分けられるよ?」


「解除しておけ」


「い、嫌だ! 一秒でもお気に入りから解除したくない!!」


「話が進まん」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「うぅ……お気に入りがぁ」


 コチコチ。ピロリン。


「送ったぞ」


「えっと、普通に届いてるよ」



『明日、そちらへ、向かう。迷惑だろう?』



「何、この文面」


「迷惑メール」


「意味不明だよ!!」


「だが、この程度だと迷惑メールにならないみたいだな」


「……(そういえば迷惑メールって、広告とかURLの添付してある奴なんじゃ)」


 コチコチ。ピロリン。


「普通のメールだよ。えっと――」



『これを三十人に転送しなさい。さもなければ――』



「これ駄目な奴だよ!!」


 ピロリン。ピロリン。ピロリン。


「また!? しかも三通連続!」



『ポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマードポマーポマードポマードポマードドポマードポマード』



『トマトの正しい食べ方を教えてあげようか? そうだなぁ、どうしよっかな?

 うん。教えてあげない。

 あははははははははははははははは!!!

 一生間違ったトマトの食べ方をしてるといいよ、どうしてもっていうなら土下座してよ! ほら早く! さあさあさあ!!』



『恋について議論しませんか。これから数日おきにメールします。あ、別に怪しいものではございません。あなたのメールアドレスと住所と家族構成、名前に生年月日に血液型に歯型から指紋とその他諸々、そして、ここ数日の食生活を知っているだけの者です。だって――

 あ、ごめんなさい。長文になってしまいましたね。では、愛してます。ふふっ』



「いやあああああああああああああああああああああああ!!!!!!」



「どうだ?」


「迷惑すぎるよッッ!!」


「まだ迷惑メールに定義されないか。今度は……」


「……お兄ちゃん、楽しんでない?」


「ギクッ! そんなことないぞ」


「口でギクッ! って言った人初めて見たよ! やめてよね! あ、でも、最後みたいなメールなら歓迎しちゃうかも」


 兄の血の気が引いた。



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