『マイケルの部屋』
マイケル:人名。
「一体どうしろと……」
「そうだな……マイケルと聞くと、思いつく人物は限られてしまうな」
「そうだね……お、お兄ちゃんはどんな人思い浮かべたの?」
「中学の英語の教科書」
「……確かに。トムも筆頭候補だね」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「でも、マイケルってドイツ語だとミッシェルになるんだよね?」
「確かそのはずだ。マイケルは日本だと太郎になる」
「意味わかんないよ」
「海外でマイケルってのは、日本での太郎と似た意味を持ってるってことだ。もしくはヒロシだな。トムの方が太郎に近いかもしれないが、そこはフィーリングの問題だろう」
「……そもそも太郎に意味なんてあるのかな?」
「マイケルからかけ離れてる気もするが……太郎の意味なんて考えたことないな」
「名前ってさ、親から子に向けたメッセージを込める場合が多いよね」
「そうだな。俺達の名前はカタカナ表記だから意味不明だけど、大抵は優しい人になってほしいとかで「優人」とか、偉い人になってほしいとかで「偉人」とか」
「お兄ちゃん、二つ目は違うよね。どう読んだらいいのかわからないんだけど」
「募集すればいい」
「名前じゃなくて読み方の募集って斬新すぎる!」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「とにかくだ。俺達も子供を授かった時の為に名前を付ける練習をしておかないか?」
「そんなの必要ないよ」
「えらく自信たっぷりだな」
「だって、私達の名前を取ればいいでしょ?」
「馬鹿か? それだと俺とお前が結ばれてるみたいで気持ち悪いぞ」
「なんで!? 結ばれるの前提だよ! だってこの作品に他のヒロイン出てこないし、部屋の中だけで完結してるから、他の女の子と結ばれようがないじゃん! 恥ずかしがらないで、私と一緒にアダムとイブになろうよ!」
「ならねえよ!」
「まったく、恥ずかしがり屋さん」
「頬をつつくな。……だが、そうだな。もしもお前とそうなった場合、名前は決めてある」
「え、どんなの?!」
「(ここで無茶苦茶な名前を提案し、兄の感性の無さを痛感させてやろう。そうすれば、こいつも無駄な希望は捨てるかもしれない)」
「早く早く、名前教えて?」
「名前は――だ」
*あまりに醜い名前の為、伏字にいたしました。申し訳ございません。
「……」
「どうした? 素敵な名前だろ? ――――――」
「すごくエキセントリックだよ!」
「は?」
「やっぱり、お兄ちゃんは私の王子さ――」
「よし、寝るか」
「って、なぜに!?」




