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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
37/102

『水族館の部屋』

 水族館:水の楽園。魚の檻。


「――というわけで、お題の人が簡易的なアクアリウムを用意したみたいだね」


「何がアクアリウムだ。ただの水槽に金魚が入ってるだけじゃないか」


「まあまあ、お題の人の資金も潤沢じゃないんだよ」


「潤沢って言葉、よく出てくるな……。はぁ、今回はこの金魚を見ながら何をしろと?」


「さあ?」


「ま、そうだな。いつもと同じか」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「「…………」」


 二人揃って、じいっっと水槽を眺めている。


「お兄ちゃん」


「なんだ?」


「水族館って、動物園とは違うんだよね」


「そりゃそうだろ」


「じゃあさ、魚とかは動物じゃないのかな?」



「……動物だよな。確か、動物はヒト以外で植物以外の生物なら分類されるはずだ」



「じゃあ、動物園で水族館みたいに魚を集めてもいいってこと?」


「そりゃ駄目だろ。動物園だし」


「どうして?」


「どうしてって……食われるからじゃないか?」


「魚同士も食べるよ」



「……あのなぁ、そんなこと言ったらキリがないぞ。例えるなら、回転寿司なのに寿司以外のメニューが置かれてる事に文句言うか?」



「言わないけど」


「それなら、水族館の事にも目を瞑った方がいい」


「釈然としないなぁ」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「……ねえ、お兄ちゃん」


「ん?」


「金魚って食べられるの?」


「わんこそばみたいに食べられるかもしれないな」


「それ、人間ポンプになりそうだね」


「「…………」」


「水草、食べられるのかな?」


「そうやって何でも食べようとするな。馬鹿だと思われるぞ」



「失敬だね、お兄ちゃん。先人が食べようと思わなかったら、食材だって豊富じゃないんだよ? 考えてみてよ。タコとかイカなんて、初見で食べようって思えないじゃん」



「確かになぁ。あれにかじりつく勇気はないよな。……でもそれを言うなら、ナマコはヤバいだろ。あとはそうだなぁ、フグとか毒を持ってたら、最初に食べても後から食べようって思わないよな」



「それもそうだね……ふわぁ~~」


「眠いのか?」


「うん……ずっと水槽見てるからね。それになんだか……」


 ぐぎゅるるるる……。


「「はぁ、お腹空いたなぁ」」


 金魚は戦々恐々とした。



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