『トーテムポールの部屋』
トーテムポール:縦に長いアレ。伝統的な彫刻。
「お兄ちゃん、トーテムポールって?」
「トーテムポールといえば、顔がいくつも重なったあれだろ」
「……ダルマ落としみたいな?」
「ダルマは顔が一つだ。顔が一つに身体がバラバラじゃないとダルマを落とすことにならないだろ」
「全部顔だったらどうなるのかな?」
「それはダルマ落としと言うより、ダルマ叩き……もしくはヘッドクラッシャーだ」
「なんか、もぐら叩きみたいだね。ブームになりそう」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「……とにかく、ダルマ落としの身体部分に顔を掻いたらトーテムポールを想像しやすい」
「ダルマの身体が顔だったらヘッドクラッシャーなんでしょ?」
「あれは例えだ。実際は全てが顔のものをトーテムポールに近い存在として感じられる」
「なるほどぉ……うがっ、な、なにこれ。非常に怖いね」
「どんな想像したのか知らんが、よく海外のお土産とかであるんじゃないか? 形が特徴的だから、一目でトーテムポールってわかるぞ」
「へー、ちなみにどこの国なの?」
「……」
「……」
「アメリカみたいだな」
「いま調べたね」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「へぇ、トーテムポールって色んな意味合いを込めて造られたんだって」
「意味合いか。確かに、物をつくるときは何かしらの意味や感情を込めることって多いよな」
「あ、それわかる。バレンタインとかだよね。愛情を込めたり」
「憎しみを込めたり」
「さすがにそれは……あ、でも、嫌いな相手に嫌いって伝えるにはいいかも。お兄ちゃんへ想いを抱く身の程知らずを淘汰できるかもしれない」
「それはやめろ。そして後半の発想は捨ててしまえ」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「うーん、トーテムポールは日本で馴染みあるのかな?」
「公園の遊具とかにありそうだけどな」
「縦に長いんでしょ? 危ないよ、それ」
「もし子供が怪我でもしようもんなら、モンスターが騒ぎ出すかもしれないな。相手取るのは遊具を作った会社になるのか?」
「そもそも、公園の遊具って誰が作ってるのかな?」
「……さあ、案外トーテムポールと同じで意味合いを込めていたけど、子ども達が遊び出したから公園の遊具と成り果てたものもあるかもな」
「それはないよ」




