『 の部屋』
『 』:空白。正直者と中二病には文字が見える。
「やりやがったな、お題の人。ハードルを上げられて逃げたか」
「まさかのボイコットってことかな? お題の書いてない部屋なんて初めてだよ。どうしよっか?
ここはやっぱり王道で『今日はお父さんもお母さんも旅行でいないから、二人きりだね。えへへ』って展開になってラブコメの王道になるのかも!
『今日はお題も書いてないから二人きりだね。なんだか汗かいてきちゃった。シャワー……一緒に浴びる?』的な!? 浴びます!!」
「そんな展開にはならん。第一、これはラブコメじゃない」
「ぶぅ」
「……仕方ない。今回のお題は、俺達で考えることにするか」
「おお、今までにない展開。それじゃあ、案を出し合ってみて試してみよっ!」
「それがいいな。よし、そうするか」
〇〇〇〇〇〇〇〇
数十分後。
「じゃあ、まずは私からだね『妹の部屋』!」
「後輩の部屋と違うのか?」
「後輩の部屋? そんなのあった?」
「あったようななかったような……まあいい。それで、求める妹像について討論するのか?」
「物分かりがいいね、お兄ちゃん。でも、その必要はないよ。ここに完璧な妹がいるもん!」
「完璧?」
「そ、そうだよ。だって、お兄ちゃんの事が好きって公言する妹は少ないもん。いや、いないかもしれないね」
「結構いると思うぞ。現実は少ないだろうけど」
「でもでも、ここまでの愛を注ぐ妹はいないよ! 最強ヒロイン爆誕!」
「漫画やライトノベルだと、かなりの割合でいるけどな」
「……お兄ちゃん、やけに詳しいね。もしかして実は妹属性が好み?」
「それだと、実の妹は含まれない気がするのは俺だけか? まあいい。このお題だと、着地点が見え見えで面白くないな」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「え~~。じゃあ、お兄ちゃんはどんなの思いついたの?」
「俺はこうだ。『沈黙の部屋』」
「なんか、映画のタイトルでありそうだね。サイレントルーム、そこは誰も話すことの出来ない呪われた禁断の部屋だった……とか」
「これはすごいぞ。一言もしゃべらない部屋だ」
「文字通りだけど……オーディエンス泣かせじゃない?」
「それでいい。俺達は常に、抗って生きていくべきなんだ」
「中二病のセリフみたいだ……お兄ちゃんが変になったとしても、私は味方だよ!」
「……」
「え、実行中?」
「……」
「って、全然面白くないよ、これ」
「……」
「それに、なんかデジャブだし。とりあえず、お題の人カムバアアアッッッック!」
結論の通り、あおり文に応えることは出来ませんでした。




