『時間遡行の部屋』
時間遡行:過去に遡ること。現実では不可能。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「もしもタイムリープできるとしたら、どうする?」
「なんだ。流行に乗ったのか?」
「ち、違うよ。乗ったとすればお題の人だよ」
「今日のお題か……で、タイムリープの話になると」
「うん。最近さ、時間遡行の作品って多いよね」
「確かに多いよな。――とか。――とか」
「なんか、意図的に作品名が伏せられてる気がするんだけど」
「全方位への配慮だ」
「もし、伏せ字の内容を知りたい人がいれば、良い子のみんなはネットで検索してみてねってやつだね」
「すごく他人任せだな。電話サービスはしてないのか?」
「してません」
「24時間ロードサービスは?」
「してません」
「三十分以内ならもれなくもう一個――」
「ついてきません。って、別方向のネタに走り始めてるよ。時間遡行の話だよ!」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「そうだったな。それじゃあ早速使えばいいんじゃないか?」
「どういうこと?」
「話が脱線する前に戻ればいいんだよ」
「……あ、そうか。でもさぁ、時間遡行って自分以外の人の記憶は無くなるんだよね」
「そりゃあ、時間遡行してるからな。記憶が引き継がれてる事の方がファンタジーだ」
「んじゃ、物は試しだよね」
「は?」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「もしもタイムリープできるとしたら、どうする?」
「なんだ。流行に乗ったのか?」
「ち、違うよ。乗ったとすればお題の人だよ」
「今日のお題か……で、タイムリープの話になると」
「うん。最近さ、時間遡行の作品って――まずいまずい」
「ん?」
「お兄ちゃん、私が時を越える少女だって言ったらどうする?」
「とりあえず、精神科に行けとアドバイスを送る」
「……実はね、今から数分後の世界から時間遡行してきたんだよ」
「スケールが小さいな、随分と。これじゃあ、他の時間遡行ものには勝てないぞ」
「勝つ気なんてないよ。名作ぞろいだもん」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「とりあえず、お前が意味不明なことは周知の事実として、時間遡行してきたってことは、何か重要なことが起ころうとしてるんだろ?」
「え、別に?」
「……いいか? 時間遡行には理由があるんだ。例えば数分後に俺が死にそうとか」
「お兄ちゃんが死ぬなら私も死ぬよ!」
「違う! 意味もなく時間遡行する奴なんていないんだよ。名作ってのは、理由があって時間遡行してるんだ」
「い、言われてみれば……」
「はぁ、だから意味もなく――」
「じゃあ、今度はお兄ちゃんね」
「へ?」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「……ここは」
「ねえ、お兄ちゃん。トンネルを抜けたら何が待ってると嬉しい?」
「戻り過ぎだろ!」




