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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
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『スタディの部屋』

 スタディ:勉強と言え。横文字やめろ。


「突然だけどさ」


「ん?」



「勉強って、何のためにやるのかな?」



「なに中学生になって過半数が抱く疑問にしがみ付いてんだ。モラトリアムか?」


「べつにしがみ付いてないよ? ただ、その、役に立つの? 数学とか社会って」


「そうやって愚痴をこぼす暇があるのなら机の前に十分座るところから始めろ。――と言いたいところだけど」


「(言ってるよね。思い切り)」


「勉強ってのは、大事なんだ。社会に出て役に立つとは限らないが、人として最低限の努力であることに変わりは無い」


「うぐ」


「義務教育制度ってものがあるんだから、最低でも中学までの教養を強要されながら身に着けるのは、社会に出るための研修みたいなものだ。バイトの新人だって初めから仕事ができるわけじゃないし、研修期間っていうのがあってだな……」


「(語り始めちゃった)……あ、あのさ、それでも勉強は役に立たないと思うなぁ」


「……その根拠は?」


「根拠!? えぇと」


「そもそも、勉強が嫌な事だっていうのは大半が感じている事だ。つまり、社会に出てからと同じなんだよ」


「?」


「社会に出てから仕事の最中に嫌な事があったとする。それを投げ出すことが出来るか?」


「うっ」


「そうやってすぐに物事を投げ出さないための訓練の一環でもある。……ちなみに、これはあくまでも俺の見解であって、苦情は一切受け付けない」


「ど、どして最後だけは逃げの一手を講じたの?」


「そういう柔軟性も必要ってことだ。時と場合を選んで」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「で、でもでも、勉強できるから頭いいとは限らないよ!」


「(こいつは、そこまで勉強がしたくないのだろうか)」


「そう! 世間で欲しているのは協調性や発想の力だよ! 世界の有名人だってプレゼンテーションが上手いから製品が良く映るってことだってあるでしょ?」


「でもプレゼンは論理的に物事をとらえる必要があるから、必然的に頭を使うぞ」


「え」


「心理学とかも学んで、相手の心をいかに揺さぶるように話すかとか考えながら話してるのであって、何も発想を思いついたようにぶつけてるわけじゃないんだ。小学生の発表会とは違うからな」


「へ、へー」


 あ、そうか。


「ひょっとしてお前――」


 ドン。ドンッ。ドドンッ!


「馬鹿なのか?」


「溜めに溜めて言う程の事じゃないよ! これまでの会話の経緯で大体理解できたよ! そしてせめてオブラートにくらい包んでよ! そして今の効果音どしたの!」


「すまん。つい本音が」


「そこも包まないと駄目なとこだよ!」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「……じゃあ、なんの教科が不得意なんだ?」


「い、言って笑わない?」


「笑うはずないだろ。妹が馬鹿なことくらいとうの昔に知っていたからな」


「……」


「どうした?」


「何でもない。……そう言うズバッとしたところも好きだもん」


「もう忘れかけていたブラコン設定はいいから本題に戻ろう」


「……に、苦手な教科だよね」


「ああ。心して聞こうじゃないか」


「(別に心して聞くまでの事じゃないと思うけど)……家庭科」


「かていかっ?!」


「……」


「で、でも料理得意だろ? もしかして裁縫が苦手なのか?」


「裁縫も得意だよ! 花嫁修業はすべて終えて修士論文が書けるくらいだもん」


「そ、そこまでなのか」


「でもね、テストが駄目だったの」


「テスト?」


「うん。オムライスの調味料に『お兄ちゃんへの愛』って書いたら、呼び出されたの!」


「……」


「ぷん! ほんと困っちゃう。てへ」


「ぶりっこはいらん。それは家庭科担当教諭のファインプレーだ。もっと呼び出せ」


「そんな、お兄ちゃんまで! これは飛び切りの料理を披露するしかないようだね!」


「いや、もう時間切れだ」


「うそっ! お題終了!? え~~」


「それにこの部屋にはキッチンがないから、腕前を披露することは出来ない」


「そ、そう言えば……。あれ、それじゃあどうしてお兄ちゃんはわたしの料理の腕を知ってるの? 作ったこと、ある、よね?」


「……あると、思う」


 あれ。どうだったっけ。なんかふわふわとして……。

 だんだん眠く……。


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