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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
23/102

『レベル上げの部屋』

 レベル上げ:町の周囲で不眠不休。


「今日はビデオゲームをしろとのことらしいな」


 目の前に設置されたのはテレビに繋がれた旧型のゲームハードだ。


「何読んでるんだ?」


「これ? 先に読めって書いてあったの」


「またお題の人か。なんだって?」


「んっとね、諸般の事情によりタイトルは口に出してはいけません。だって」


「そうか。じゃあ早速はじめるか、ピ―――(規制音)。……なんだ、今の音」


「ピーってなったね。なんか不思議。でも、七不思議の一つみたいで面白いね、お兄ちゃん」


「七不思議というより、第三者の力を感じるな……。ま、いいか。とりあえずやってみるぞ」


「おー」



〇〇〇〇〇〇〇〇



 カチッ! デッデッデッデ。


「ん?『つづきから』があるな。セーブデータ、いつの間に作ったんだ?」


「私が試プレイしといたんだぁ。結構面白いから続きを――ってちょっと!? なんで『はじめから』選ぶの!?」


「ん? いや、プレイヤー名が不吉だったんでな。つい」



「えー、お兄ちゃんの名前だよ? ちなみに、ヒロインのお姫様も仲間にいるんだけど、名前はね、当然というか予想通りというかノストラダムスというか、私の名前だよ!!」



「主人公は『ユウジ』。ヒロインはそうだなぁ、『ナオ』っと」



「なんでスルーした上に初めから!? それにナオって誰なの! 私知らないんだけど!! 説明して!」



「は? 知るわけないだろ。咄嗟に作ったんだ」


「ふうん。――にしては、現実味あるよね。本当?」


「面倒な奴だな……わかったよ。つづきからはじめる」


「さすがお兄ちゃん。大好き!」


「へいへい」



〇〇〇〇〇〇〇〇



 一度リセットして、『つづきから』を選択。


 ピッピッ。


「へぇ、結構レベル上げてるんだな」


「うん。RPGって、黙々とやっちゃうんだよね。ふと気づいたときには、これって何のためかなって思うけど、その疑問に負けないで続ける精神力を試されてる気がするよ」


「誰にだよ誰に」


 カチッカチッ。


「――で、今回はゲームするだけなのか?」


「えっとね、レベル上げの部屋だって」


「成程……おい、ヒトミ」


「ん? どしたの?」


「レベル上げすぎだろ。次のレベルまで途方もない数字が叩き出されてるぞ」


「あ、あちゃ~~。レベリングあるあるだね」


「……はぁ、やるか」


「おー!」



〇〇〇〇〇〇〇〇



 二時間経過。


「や、やっとレベルが上がる」



「やったねお兄ちゃん! 交代しながらプレイすること数時間、弱い魔物を狩り続けてようやくレベルアップだね! 途中、何度も強い敵に絡まれながらも背中を向け続けてきた結果だよ!」


「ダイジェストご苦労。多分だが、俺達の戦いは編集されてるだろうから助かった。よし、これで!」



 ズシャ! ポロロ~―――ギギィ。


「「え……」」


 ブツン――。


「お、おい。画面暗くなったぞ」


「も、もしかして、レトロゲームあるある?」


「嘘だろ……」


 バタンッ!


「お、お兄ちゃん!」


 その後、新しくレベル1からはじめて、簡単にレベルを上げました。


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