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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
20/102

『人生ゲームの部屋』

 人生ゲーム:人生はゲームではない。


「突然だけどお兄ちゃん、人生ゲームをしよう」


「断る」


「この部屋のお題でも?」


「……ルールを説明しろ」



「えっとね、私が作った人生ゲームなんだけど、このルーレットを回して駒を進めるの。そして、最終的に幸せな人生を送った方の勝ちだよ」



「……」


「どったの?」


「いや、製作者に不安を覚えた」


「大丈夫だよ。そんな身構えなくても」


「本当だな?」


「ひゅ~ひゅ~」


「口笛、鳴ってないぞ……。まあ、とりあえずやるしかないか」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「じゃあ、私先行ね。ちょりゃ!」


 キュルキュルキュル……6。


「6だね。ほいほいっと。……えぇと、お兄ちゃんと結婚します」


「ストップ」


「どうして? これからが燃える展開だよ? 結婚して、ついに私たちは遂に血の繋がりという鎖から解き放たれるの!」


「待て。6マスで展開しすぎだ」


「えぇ~~」


「大体、こんな序盤に結婚したら、この先どうなっていくんだよ」


「もちろん、甘々なラブストーリが目白押し。やったね!!」


「勝手にやってろ」


「ちょ、お兄ちゃん! お題に逆らうの?」


「……っ! やっぱり不安は的中したな。お前が作った人生ゲームなんてこんなものだと思ってたよ」


「えへへ」


「褒めてない」


「じゃあ、お兄ちゃんが作ったら?」


「わかった。少し待ってろ」



〇〇〇〇〇〇〇〇



 三十分経過――。


「まだ?」


「待て。ここで転職する際に選択できる職業が、これまでの学歴を加味するとして……」



「凝り過ぎだよ! 作る側に回ると凝り過ぎて若干周りが引くレベルだよ! こういうのは夏休みの自由研究レベルでいいんだよ! お茶を濁しても誰も咎めないから!」



「人生とは、かくも深く難儀なものである。おしまい」


「急に終わろうとしないで! ほら、やっぱり私のやろうよ!」


「……仕方ない」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「えへへ、お兄ちゃんからだよ」


 キュルキュルキュル……3。


「3だな。……おい」


「ん?」


「『階段で転んで妹の胸を揉む』って、なんだこれ。CEROが上がるぞ」



「ラブコメ定番のラッキースケベイベントだよ! ほら、リアルで弾力を確かめて、想像を膨らませよう! ほれほれほ~れほれ!」



「……次、お前だ」


「はぁい。えいっ!」


 キュルキュルキュル……5。


「いち、に、さん、し、ご……っと。えぇと、熱いベーゼを交わす?」


「良かったな」


「注意、このイベントはリアルに直結します。というわけらしいよ」


「待て、おかしい。さっきからリアルに直結しすぎだろ。大体、これじゃあ人生ゲームというより――」


「恥ずかしがらないで、ほら」


「ち、近づくな。目を閉じるな。唇を尖らせるなっ!」


「もうっ! お兄ちゃんのえっち」


「何もしてない! この状況を利用して文脈で勝手に既成事実を作ろうとするな!」


「――とか言いつつ?」


「逆転の展開もないぞ」


「つまんないなぁ」


「なぁ、これいつまで続くんだ?」



「え? んとね、子供が生まれて、また子供が生まれて……地球の最後、魂の消滅から楽園が再び誕生するまで?」



「お前の方が凝り過ぎだろ。いろんな意味で」


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