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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
2/102

『トンネルの部屋』

 トンネル:暗くて長い。車はライトをつけよう。

 

「ねえ、お兄ちゃん。トンネルを抜けたら何が待ってると嬉しい?」


「急になんだ。あれか、あれを読んだのか?」


「いや、お題がトンネルだから」


「そうだな、普通に目的地だったら嬉しいんじゃないか?」


「夢がない!」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「なら、お前は何が待ってると嬉しいんだ?」


「そりゃあ、テーマパークとか」


「テーマパークの周辺に山があるってことか? 山奥のテーマパークなんて環境破――」


「そういう意味じゃなくて! なんとなく、トンネルを抜けた先に夢の国が待っていたら嬉しいなぁって」


「テーマパークじゃなかったのか?」


「だぁから、テーマパーク自体が夢の国みたいなものなの。賑やかなイルミネーションにぃ」


「眩しくて視力が悪くなりそうだな。それに環境に悪そうだ」


「……豪快なアトラクションとか」


「成程、環境に悪い機械仕掛けのテーマパークに夢があると」


「楽しそうなキャラクターたち!」


「夏場はホントに同情するよな、中の人に。二酸化炭素が充満して環境が――」



「ああもぅ! お兄ちゃんには本当に夢がないよね!」



「失礼な奴だな。夢ならあるぞ」


「どんな?」


「億万長者になりたい」


「……それは、夢がない人の夢だよ」


「もしくは有名になってみたい」


「やめて! それ犯罪の動機になりかねないからやめて!」


「別に、悪事で新聞の一面を飾るつもりはない」


「でも飾るつもりはあるんだよね?」


「もちろんだ」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「そ、そんな野望みたいなことよりも、もっとお伽話ちっくな夢を持とうよ!」


「意味がわからん。……話は変わるけど、トンネルってかなり昔から作られていたって聞いたことがあるな」


「へぇ……どれくらい?」


「紀元前とか」


「紀元前って?」


「ものすごく昔ってことだ。勉強になったな」


「あれ? なんか物凄く馬鹿にされているような気が――」


「まあ、諸説あると言っておけば間違いないか」



「その一言が安心の保険だね。あ、それよりも話を戻そうよ。急に話題転換しすぎだよ。オーディエンスもついてこられないから」



「(話題をずらすのに失敗したか。それに、オーディエンスってなんだ)」


「トンネルを抜けた先の景色、それだけでロマンチックなのに夢の国だったらもっと素敵だよ。素敵な人といっしょなら、ね❤」


 ぱちくり。


「へー」


「ウィンクを簡単に流さないでほしいなぁ。……第一、どうしてこんなワードでトークしないといけないの?」


「仕方ないだろ。決まり事なんだから」


「誰が決めたの?」


「さあ。神様じゃないのか?」


「……お兄ちゃん、トンネルはもうやめよう」


「そうだな。話題が広がる気がしない。……そうだ、トンネル効果とか聞いたことあるな」


「どういう意味?」


「意味はよく知らない」


「……やっぱり広がらないね、トンネル」


「トンネルのおかげで、人々の世界は広がったけどな」


「上手い! 座布団一枚!」


「いや、この部屋フローリングだからクッションしかないぞ」


「いい加減、夢を壊すのやめようよ、お兄ちゃん」


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