表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
19/102

『カラオケの部屋』

 カラオケ:歌う場所。歌うこと。


「ついに導入されたよ!」


「いきなり大声でどうした」


「これだよこれ!」


 バンバンッ!


「導入されたはいいが、そんなにぶっ叩いてたら秒で壊れるぞ」


「あ、わわ」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「カラオケセットか。得点が表示される最新型だな」


「つい最近の演歌の部屋で苦情出したから、きっとお題の人が奮発してくれたんだね。えらい! 褒めてつかわす!! ついでに妹の部屋をください!!!」


「何様だよ……いや、待てよ?」


「お兄ちゃん、どうして少し悪い顔してるの?」


「頼んで用意されるのなら、いくらでも利用可能じゃないか。そうだな、この部屋にはどうして80インチの大型テレビが無いんだ? 不思議だなぁ」


「……お兄ちゃん、せこいよ」


「すまん。俺も、言っててそう思った」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「と、とりあえず、早く使おうよ!」


「いつぞやのクレーンゲームのようにならないといいけど」


「クレーンゲーム?」


「……そんなのなかったか?」


「んー、気のせいじゃない? 第一、クレーンゲームなんて高そうなもの、どうやって部屋に運ぶの?」


「そう言われると、そんな気もしてきたな」


「ほらほら、これで歌いたい曲を入力するんだね」


「タッチパネル式とは、時代は進化したな……。ところで、最初の曲選びは肝心だぞ」


「え?」



「カラオケの最初の曲は、以降の場の雰囲気を決定する一打になりかねない。

 つまり、カラオケで最初にどんな曲を歌うのか、それでリア充ポイントが設定される。俺達の様なレベル1の新参者が相応しい曲を選ぶのはかなり大変だ」



「お、お兄ちゃん……自分で非リア充であることを認めちゃうんだね。

 で、でもでも、私はリア充だよ! だってお兄ちゃんと一緒なら常に充実してるもん。リアル充実より、常に充実だから……ツネ充だね!」



「変な言葉をつくるな。それにツネ充って、読み方次第で人の名前になりそうだぞ」


「そ、そうかな?」


「とにかく、最初の曲は重要だ。俺が選ぼう」


「お兄ちゃん、カラオケとか行ったことあるの?」


「ない」


「……」


「任せろ。カラオケには行ったことないけど、雰囲気を掴む曲なら知ってる。これだ」


「こ、これは!」



 ♪~♪~。



「童謡だ!」


「……」


「どうした、反応が鈍いぞ。さては兄の選曲センスに悩殺されたか」


「の、悩殺は常にされてるけど……この曲をどうして選ぶのか、理解に苦しむよ」


「みんな知ってなきゃ、ノリが悪いだろ? 童謡なら認知度が高い上に、盛り上がることが出来る」


「確かにそうだけど……盛り上がりそうにないよ?」


「そ、そうか?」


「本気で驚いてるところを見て、少しだけお兄ちゃんのセンスが怖くなったよ。ここは、私が見本を見せてあげる」


「……悔しいが、頼んだ」


「やっぱり最初はこれだよ」


「……は?」



 ♪~♪~。



「愛の歌だよ!」


「いや、重いだろ」


「えぇ~~。良い曲だよ? 歌詞も泣けるし」


「けど、バラードはどうかと思うぞ? 童謡を選曲した俺が言うのはどうかと思うが」


「でも、バラードは人の心に響くよ?」


「響かせちゃ駄目だろ。序盤で」


「どうして?」


「どうしてって……テンション、キープできないと思う」


「あ」


「それに、後ろが歌えないって」


「そ、それもそうだね」


 結局、カラオケセットは役に立ちませんでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ