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俺と妹のただならぬワンルーム  作者: お題の人(新増レン)
1LDK(1~50)
18/102

『女子力の部屋』

 女子力:数値化出来ない力。女子女子してるかどうかを示す指数。


「ついに来たね、ストックの部屋だよ」


「言ってやるな。今日はきっと、お題の人が疲れていたんだ。だからノートに書き留めておいたストックを仕方なく消化することに決めたんだよ。察してやれ」


「むふふ、女子力の部屋となったら一日中語れそうだよ」


「お前に女子力があるのか?」



「ありまくりだよ! 溢れ出るこのオーラでわかるでしょ? きっと女子力300以上はあって、女子力カウンターを通して見たらカウンターが爆発するレベルだよ! そして私は、その辺の女子を見て言うの。女子力たったの6か。ふん、ゴミ――」



「すまんが、そんな特殊能力は持っていない」


「最後まで言わせてよぉ~~。けど、お兄ちゃんなら妹への愛でわかるでしょ?」


「女子力は愛でわかるのか?」


「もちろん! 女子力に磨きがかかるのは乙女が恋をしてる時だからね。私は永遠に女子力マイスターだよ」


「永遠の恋する乙女って、永遠の十七歳よりも残酷だな」


「ど、どうして?」


「恋するだけで、実ることが無いからだ」


「……」


「本気で落ち込むな。未来は明るいぞ」


「そ、そうだね。お兄ちゃんがいるもんね」


「そう思ってる時点で未来は閉ざされていく一方だと思うけどな」


「ぶぅ」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「しかし、女子力なんて言葉、そもそも普段は使わないだろ」


「そうかな?」



「そうだろ。例えば、私の女子力があれば乗り切れる!――とか。もう神様仏様女子力様!――とか。とりま女子力満タンで。しゃす、女子力満タン入りましたあっ!!――とか」



「最後のは限りなく女子力が関係ない上に、あり得ないシチュエーションだよ、お兄ちゃん」



〇〇〇〇〇〇〇〇



「そもそも、女子力の定義がわからないままなんだが」


「ていぎ……?」


「お前にこんなことを聞いたのが間違いだったらしいな」


「むか。なんか馬鹿にされてる?」


「そうだ」


「そこは否定しようよ! 会話の発展的に!」


「これ以上会話を発展させても、どうせまたどうでもいい話に方向転換して、果ては意味不明のまま終わるってのがオチだぞ」


「オチってのは、繰り返されるほどに磨かれるんだよ。女子力のように」


「だから、この上手いこと言った風な展開がもうマンネリだろ。毎回、思い返せば全然上手くないし」


「うぐっ……。じゃあ、お兄ちゃんはどんな風に展開した方が面白いの?」


「そうだな……例えば、この部屋の秘密が暴かれるとか?」


「秘密?」


「思えば、どうしてこんな味気ない部屋で無意味なトークに花を咲かせてるのか、常に疑問だったんだよ。お前はそう思わないか?」


「うーん……。あまり、思ったことないよ?」


「あれ、俺が変なのか?」


「学校で疲れることでもあったとか」


「学校……行ったか?」


「行ったよぉ! 一緒の学校だもんっ!」


「そう、だったな」


「変なお兄ちゃん。今日はもう終わりにして早く寝た方がいいかもね。いこっ」


「あ、ああ」


 ヒトミに手を引かれ、扉の向こうへ。

 向こう……。何処へ行くんだ?


「なぁ……」


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