『妹の部屋』
妹:史上最強!! *個人(作中の誰か)の見解です。
「ついに来たね! 私の時代!! 100部屋目にして最強のお題だよ!!!」
「100か。ここまで来るとはな……。作者が言うには、元々50で終わらせるつもりだったらしいけど、書いているうちに頭の中で俺達が会話し始めて、やめるにやめられなくなったみたいだ。きっと死ぬまで書くんじゃないか?」
「そんな裏事情どうでもいいよ! それに、死ぬまでなんて無理だよ。ネタがきっと尽きるし、途中で書いてる側が飽きてくる……って、そんなのどうでもいいよ!! 今日は妹の部屋なんだから! ほら、お兄ちゃん!」
「は?」
「私を崇めてよ! もっと敬ってよ! 今日は天上天下、私只一人の為のお題なんだから!」
「他にも妹なら星の数ほどいるだろ」
「星の数ほどはいないよ! 希少価値高いよ!」
○○○○○○○○
「――で、何するんだ?」
「ふっふっふ。お兄ちゃん、妹の部屋なんだからすることはただ一つだよ」
「……まったく、見当が付かないんだが」
「察しが悪いなぁ。当然、妹シミュレーションゲームだよ!!」
「なんだよ、それ」
「これを見ている人が、必ずしも兄とは限らないでしょ? そんな妹のいない可哀相な人達の為に、妹の私がお兄ちゃんとシミュレーションすることで妹エネルギー、イモルギーをあげようってゲームだよ」
「……妹が欲しいなら、お前をあげるんだけどな」
「ちょ、それはさすがに……」
「す、すまん。言い過ぎ――」
「ツンデレも度が過ぎると、需要ないぞ。ていっ」
こつん。
「すぐに売りだな」
「そんなっ、株みたいに!」
「それと、イモルギーって何だよ」
「妹エネルギーだよ!! 説明しよう、妹エネルギーとは妹から放出される目には見えない宇宙エネルギーの事なのだ。これを全身に浴びると、心が朗らかになり些細なことは気にしなくなるのだ!!」
「イモルギー、是非世界中に散布してくれ」
○○○○○○○○
「じゃあ早速、ゲーム始めようよ」
「このゲームが本当に世界平和につながるのかはともかくとして、シミュレーションって何するんだよ。また美少女ゲームでもするのか?」
「まさかぁ。あれに出てくるのって狂気の妹だけでしょ」
「お前も十分、狂気の沙汰に分類されるけどな」
「このゲームは妹がいた場合を想定して、こういう時はどんなことになるのかな? っていうことを私の妹脳を存分に駆使して再現してみようってゲームだよ」
「……は?」
「だから、このゲームは――」
「そこから説明すんな! 簡単に言え!」
「簡単に? えっと、妹がいるとこんな時どうなるのか再現してみようってことだよ」
「最初からそう言えよ。つまり、一緒に暮らしてる妹がいた場合の再現ってことか?」
「そうだよ」
「……じゃあ、どんなお題にするんだよ」
「そりゃあもちろん、簡単なものだよ。例えば、妹の友達が遊びに来てるケースとか」
「ああ、そう言うのなら考えられるよな」
「早速やってみよう!」
○○○○○○○○
「ただいま~~、って靴多くないか?」
「お兄ちゃんおかえり~~」
「……おい」
「え?」
「友達ほったらかしにして出迎えるなよ。ありえんだろ」
「そうかな? 普通だと思うけど。だって友達より断然お兄ちゃんだもんね!」
「だもんね! って、これだと平均的な妹を再現できてないんじゃないか?」
「そうかな?」
「普通、兄が帰ってきてで迎える妹なんていないだろ」
「いるよ? ここに」
「特殊なケースだ」
「そ、そうだとしても、妹に憧れや幻想を抱く人たちにとっては最高のシチュエーションじゃない? だって友達よりも兄を優先するんだから!」
「妹の学園生活を心配するだろ」
「お兄ちゃん、そこまで……」
「おい」
「そうだよね。お兄ちゃんが大事だけど、友達との仮初の友情も演じておかないと大変だもんね。わかった。私は心を鬼にして好きでもない友達と遊ぶよ」
「それは友達とは言わん」
○○○○○○○○
「もう、お兄ちゃんがツッコんでばかりだから何も進まなかったよ」
「俺のせいじゃない。お前が特殊すぎるせいだ」
「やだなぁ。私の事そんなに褒めないでよ」
「……」
「でもとにかく、100部屋目だね。次からは別世界に突入かな? 新シリーズスタートかも!?」
「デマ情報流すな。この作品はいつまでもこのままだ」
「それもそっか。私もその方がお兄ちゃんと一緒だから嬉しいかも。お兄ちゃん、これからもずっと一緒にいようね」
「フラグ立てるな。もう終わるみたいだろ」
「ほえ?」
○○○○○○○○
「けどまぁ、今回のお題は手抜き感が凄かったな」
「最後になんてこと言うのさ!!」
「だってそうだろ。妹の部屋って、ずっとお前と一緒だから100部屋分、全部が妹と一緒の部屋だろ」
「お兄ちゃん……!」
「ま、作品名からそうだしな」
「うん! これからも『俺と妹のただならぬワンルーム』は続くよ!」
「だから変なフラグ立てるなって」
「ほえ?」
「それに本編の中で本編の宣伝しても無意味だろ」
「その方が私達らしいよ!」
「……それもそうか」
バタン。
ヒトミはユウジが部屋を出ていくのを見てから、言葉を漏らす。
「……お兄ちゃん、実は今回で終わりなんだよ。101は来ないの。だって、もう……」
彼女が独占していた無限の終わり。
100度も繰り返した一部屋の記録も、終わりを迎える。
彼は、部屋の外へと出ていった。
光の待つ、白い世界に。
「また、仲良くしてほしいな」
そう言って彼女の身体は消えた。
そして部屋には、何もなくなったのだった。




