# 夕陽が消えた世界Ⅰ
ごめんなさい。
まさかのタイミングで現実世界サイドのお話です(´Д`)
…書きたかったんです…許してください…
9、10も近日中に投稿させて頂きますので、何卒…
ゆうくんが学校を休んだ。
ただそれだけなら「風邪引いちゃったのかな」とか「お寝坊しちゃったのかな」とか…それだけで済む話かもしれない。でも、
「…1週間かぁ」
連絡もなくゆうくんはもう1週間も休んでいる。
3時間目の授業が終わり、これからお昼ご飯を食べに学食に向かうクラスメイト、一緒に食べようと机を合わせてお弁当箱の準備をするクラスメイトで賑やかな教室で、私は一人溜め息をつく。
一緒に夜ご飯を食べたあの日。別れ際、自分の想いを綴った手紙を渡した。
ずっとずっと、自分の心の中に留めていたゆうくんへの気持ち。
高校に入学し、2年生になって再開した男の子。
ちょっと雰囲気は変わっちゃったけど、あの頃と変わらない優しいゆうくん。高校では悪い噂で周りから距離をとられ孤立してしまっているゆうくん。
本当はすごく優しいのに。
自分も初めてその話を聞いた時はびっくりした。まさかと思った。でも久しぶりに言葉を交わしたゆうくんは、あの頃のまま優しいゆうくんだった。
だから、今の状況は面白くない。本当はゆうくんの周りにはたくさんお友達がいて、みんなが笑っている。それが自分にとっては当たり前の世界だった。それなのに…
「ほーのか。何考えてるの?」
1年生の時に仲良くなった望結ちゃんが、お弁当を持って来てくれる。心配をかけてしまったのかもしれない。
何かと気が利いて、よく周りを見て行動できる望結ちゃんはクラス人気NO.1だった。肩まで伸びたウェーブのかかったうす茶色の髪。ぱっちりした目に長いまつげは女の子から見ても魅力的で羨ましい。
「ゆうくんのことが少し心配で…」
「あー、ほのかあの人のこと溺愛してるもんね」
望結ちゃんは空いている隣の席の椅子を持ってきて座り、お弁当を広げながら呆れたように言う。
「あんたぐらいだよ?佐渡君とお話ししてるの」
「ゆうくんと1度お話ししたら、きっとゆうくんと仲良くなれるのに。みんなゆうくんのこと勘違いしてるだけだもん。だって…」
「はーいはいはい。その話は何回も聞いたから大丈夫よ。確かに、ほのかの言う通り佐渡君はそんなに悪い人じゃないかもしれない。でも、あの噂は本当にあった事みたいじゃん?それ聞いちゃったらなかなか怖くて話しかけられないって」
―あの噂。
ゆうくんはこの高校に転校してきたその日に、先輩とケンカして病院送りにした。ケンカの原因は曖昧でハッキリとしたことはわからないけど、救急車が学校に入ってきて学校中が大騒ぎになった。それが原因でゆうくんは1ヶ月停学になった。
どうしてケンカしたのか1度聞いたことがある。でも「忘れた」としか言ってもらえず、何か言いにくいことでもあるのかと思いそれ以上聞くことはしなかった。
「でもまぁ、絡みにくいというか、話しにくいのは確かだよね」
ゆうくんは停学期間が終わり、登校するようになっても孤立してしまいずっと1人でいる。表情は何か思い詰めたかのように暗い、話しかけてはいけないのではと感じさせる雰囲気を纏っている。だから望結ちゃんの言葉は間違っていない。それでもだ、
「何も知らないのにただ遠ざけるだけなんて、おかしいよ」
気に入らない。
ケンカしちゃったゆうくんも確かに悪いけど、それでも何の理由もなく誰かとケンカするような人ではないと知っている自分からしてみれば、周りの対応は気に入らなかった。
「まぁ、難しいよね」
結局この日のお昼ご飯は喉を通らなかった。
帰り道。
1度ゆうくんのお家に寄ってみることにした。
以前聞いたアパートの名前をスマホの機能で検索し、行き方を調べる。これなら、方向音痴の私でも迷わずゆうくんに会いに行ける。
アパートが近づいていくにつれてだんだんと緊張してくる。
今まではいきなり訪ねたら悪いかと思い、家に行くことは遠慮していた。
心配かけるゆうくんが悪いんだからね。
アパートに着く。
一階の一番奥の部屋。ゆうくんの住んでいる部屋の前に立つと、緊張感よりもゆうくんに会える気持ちで嬉しいという感情が勝る。
ピンポーン
「……………。」
ピンポーン
「………寝てるのかな?」
時刻は17:00を少し過ぎた頃。お昼寝にしては長すぎる。
もう一度チャイムを鳴らそうとしたその時、
「その部屋の子なら、ここ何日か帰ってきてないよ?」
ゆうくんの隣に住んでいる人だろうか、声をかけてくれる。
「そう…ですか。ありがとうございます」
頭が真っ白になる。
学校にも来ない。
家にも帰っていない。
もしかしたら…本当に何か事件に巻き込まれたのではないだろうか…。
気付いたら家の近くまで来ていた。
どういうルートでここまで歩いてきたのか覚えていない。
ゆうくん…
不安で心が潰れそうになる。
もうゆうくんに会えないのではないか。
いや、そんなことはない。
きっとどこかにいるはず。
心の中で最悪のシチュエーションを思い浮かべる自分と、それを否定する自分でぐちゃぐちゃになる。
ふと、視界に見慣れた「物」が飛び込んでくる。
高校の指定されているバック。
それが路地裏の少し入ったところに立て掛けられている。
そんな…
恐る恐る、バックに近付いていく。
たまたま…だよね?
恐る恐る、バックを開ける。
そんなはず…ない、よね?
そこに入っていたのは、自分も使っている教科書が数冊。
それと、とある生徒の学生証。
「いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ!」
その学生証に記された1人の生徒の名前
ー佐渡夕陽
意識が真っ白に染まっていく。
もう何も、わからなくなった。
お読みいただきありがとうございます(*^^*)
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