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英語タイトル

Por-Ker-F-Ace

作者: 雪つむじ

養豚場って知ってます?

子豚から親豚まで、一列に並んで。

小さいころは、近付くのも嫌だった。

変なにおい。

夜な夜な聞こえる叫び声。

入り口には、黄色と黒のバイオハザード。


でも、豚肉は好きだった。

食卓に上るのは、大体豚肉だった。

生姜焼きとか、豚汁とか。

サラダにも乗っていたっけ。

向かいの小屋の中身が、こうやって出てくるんだな。

そう思いながら、毎日の食卓だった。


電車の人の顔はどうだろう。

子供から親まで、一列に並んで。

小さいころは好きだったけど、あの臭いは嫌だった。

何とも言えない、こもった油の臭い。

ギシギシと悲鳴を上げるバネの上で、右へ左へ。

発車のベル、閉まったドアに蹴りを入れて笑いながら離れていく人たち。


穀物を食べて、屋根があって、とりあえずみんな同じ側を向いて。

分類するなら、哺乳類でしょ、とか、肌色はピンクだよ、とか。

臓器移植だって出来ちゃうんじゃないの、とか。


養豚場から豚が逃げたぞって、大人たちが走っていく。

自分たちを押さえつけるために。

野良猫に子豚が食われたぞって、子供たちが逃げ回ってる。

ギラギラ光る目から逃れるために。


学校を卒業して、就職して。

いい成績だったって、エースにはなれなかった。


だから、表情を崩さず。

豚の皮を被って生きる。

ありがとうございました。

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