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2 適当にアイテム作ってみようか。


さて、俺自身がアイテムを工程抜きで作れる事が分かった。

なら最初にやる事は、様々なアイテムを作って、できればそれを道具屋とかに売り払ってお金を手に入れる事か。売れるかどうか分からんけど。


「低級回復薬なら、キュアグラスとグリングラスでできるし。これくらいの素材なら、道端に生えてる事もあるしな。」


それに、低級回復薬の他にも色々な基本的なレシピを覚えた為、様々なアイテムの合成を試すつもりだった。

素材があればの話だけど。


空が少し赤く色づく頃、素材集めから戻ってきた零人は、すぐに合成に取り掛かった。

場所は集会所。人は相変わらずいない。


今回作るのは、前回作った回復薬に加え、難易度が低いとされる解毒薬と回復丸薬である。

どちらもベースにキュアグラスと使い、解毒薬には解毒作用のある毒消し草を、丸薬には粉々に砕いたククアの実というのを使う。

ククアの実はそこらに生えてるククアの木から取れる木の実で、見た目はさくらんぼに近いが、殻はとても堅い。

本来ならこれも、魔力を込めながら合成手順を踏まなければならないが、俺の能力でスキップする。


解毒薬《道具》

ある程度弱い毒を無力化できる薬。あまりにも強い毒は解毒できない。


回復丸薬《道具》

回復成分を凝縮させた丸薬。効果が出るのは遅いが、低級回復薬を凌ぐ回復量を誇る。


2つのも無事に合成に成功し、俺が持ってるアイテムは3種類に増えた。

数もそれなりに作れたが、俺がポケット+手に持てるくらいしか作れず、早く道具袋みたいなアイテムが欲しい、とも切実に思った。


さて、まとまった数のアイテムを作る事ができた為、次の目標へと移る。

このアイテムを売れないか、である。

RPGで、アイテムを売る場所といえばNPCの店だ。この村にも、鍛冶屋や道具屋が存在している。

俺は、村の入り口付近にある道具屋へと向かった。


「いらっしゃい。何か必要な物はあるかね?」


道具屋の扉を開けたら、40歳くらいのおっさんが声をかけてきた。

おお、これまたテンプレなNPCショップ店員の台詞だ。


「ちょっと品物を見せてくれるか?」


「あいよ。」


そう言うと、カウンターや両隣にある棚に陳列されてる商品を見る。

それで、新たに分かったことがいくつかある。


この世界の通貨は、銅貨や銀貨、金貨を用いているらしい。

目の前にあるのは、薬草、とだけ書かれたキュアグラスが一束あり、値段は銅貨1枚。

他にも、毒消し草やグリングラスを初め、モンスターから入手したのだろうか?ビンに入ったスライムの粘液やキラービーの針など、新しい素材も売られていた。


「成程、ありがとう。一つ聞きたいんだけど、この回復薬って買ってくれたりする?」


というと、俺はいくつか持っていた回復薬の1つをおっさんに差し出しすと、おっさんはビックリしたような顔をして手に取った。


「回復薬か・・・?お前さん、見た所まだランクの低い冒険者みたいだが、よく持ってるな。」


ランク?冒険者?

あー、これはあれか。よくある冒険者ギルドとかそういう組織所属の冒険者の事かな?


「まあそれはいいとして、そんなに珍しいアイテムじゃないと思うんだけど。」


「低級回復薬か・・・。いや、確かに珍しくはないが、中々高い代物だからな。最低でも中級冒険者レベルじゃないと常時持てないのさ。」


ふむ?この世界では、回復薬は結構高い物のようだ。

合成術の使い手が少ないからでもあるだろうが、これ低級だぞ・・・?


「まだいくつかあるんだが、買ってくれるなら買って欲しい。それと、その代金で新たに準備を整えたいんだけど、いいかな?」


「ああ、売ってくれると非常に有難い。こんな小さな村に、回復薬なんて滅多に入荷しないからな。」


案外簡単にお金の問題は解決しそうだなこれ。

というか、合成術を使える人なんて滅多に現れない筈だが、何故キュアグラスとかの素材が売ってるんだ?と聞くと


「知らんのか?キュアグラスはそのまま食べても、少しだが傷の治りが早くなるんだぞ。」


と言われた。知らなかった。説明文にそんな事書かれてなかったわ。


そして、さっき合成した薬をあらかた売却。銀貨3枚を手に入れた。

聞けば、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚になるそうだ。

って事は、さっきのキュアグラスを300束買えるって事か。要らないけど。


そして、俺はとある売り物に目を付けた。

道具袋、と書かれた小さめの袋で、値段は銅貨70枚とある。


「なあ道具屋のおっちゃん。この道具袋って何だ?」


「何だ、アンタ冒険者だろ。道具袋の使い方を知らんなんて冗談はやめてくれよ。」


と笑われたが、当の俺は冒険者でもないし、旅人でもないんだよ!ただの高校生だ!

という事は置いておいて、俺はおっさんに使い方を聞いてみた。


「まあ一応教えるけどよ?道具袋は、その所有者が魔力を込める事で道具をホイホイと詰め込める魔法の袋だ。だが、入れられる量はその人の魔力量に比例するぜ。」


つまり、人によって入れられる量が違うのか。

それでも、今の俺よりは多くのアイテムを詰め込めるだろう。


「おっちゃん、それ買うよ。それと、キュアグラスとグリングラスも数束欲しい。」


「あいよ、毎度あり!」


俺は素材となるアイテムをいくつかと道具袋を購入した。

早速、道具袋に気合を入れるようにして魔力を込めてみた。

すると、道具袋の底が真っ暗闇になり、底なしの袋のような感じになった。

試しに残しておいた回復丸薬を袋に入れて、頭の中で取り出そうと念じながら袋に手を突っ込むと、きちんと取り出すことができた。

ふむ、本当にファンタジーな世界だなここ。某未来ロボットの何とかポケットを思い出す。


さて、もう空も夕焼け色になってるし、もうすぐ夜になる。

その前に宿屋に行かないとな。最低限のお金は手に入れたし、足りなければまた再度合成して稼げばいい。

俺は道具袋をポケットにしまうと、そのまま宿屋へと向かった。



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